日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ピエトロ・ダ・コルトーナ
ぴえとろだこるとーな
Pietro da Cortona
(1596―1669)
イタリアの画家、建築家。本名Pietro Berrettini。中部イタリアのコルトーナに生まれる。フィレンツェ出身の画家アンドレア・コンモディAndrea Commodi(1560―1638)に師事、1612年、師に随行してローマに出た。ただちに優れた技量を認められ、サッケッティ家やバルベリーニ家など名門の後援を受けるようになるが、とくにバルベリーニ家の依頼によるサンタ・ビビアーナ聖堂の壁画『聖女ビビアーナ物語』(1624~1626)、パラッツォ・バルベリーニの天井画『バルベリーニ家の栄光』(1633~1639)がよく知られている。この天井画制作中、トスカナ大公フェルディナンド2世Ferdinand Ⅱ(1610―1670)の要請でフィレンツェのパラッツォ・ピッティの装飾を依頼されるが、神話物語を主題にした壁画の制作が実施されたのは1640~1647年である。その後、世を去るまでローマで制作を続け、パラッツォ・パンフィーリの壁画(1651~1654)やヌオーバ聖堂の壁画(1664~1665)の大作を残した。建築作品としてはローマのサンタ・マリア・デッラ・パーチェ聖堂が傑出しており、その古典様式にはバロックの萌芽(ほうが)が認められる。
[濱谷勝也]