日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピガル」の意味・わかりやすい解説
ピガル
ぴがる
Jean-Baptiste Pigalle
(1714―1785)
フランスの彫刻家。パリ生まれ。ルモワーヌに学び、1736~39年ローマに遊学。帰国後、ポンパドゥール夫人の知遇を得て、44年アカデミー会員となる。当時の作品『メルクリウス』は古代彫刻に範をとっていることが理解されるが、彫像の動感はむしろ甘美、優雅で、ロココ風である。しかし、彼の記念碑的傑作『サクス元帥の墓碑』(1753~76、ストラスブール、サン・トマ聖堂)はピラミッド状の構成をとり、頂点に位置する元帥の威風堂々とした所作は、彼が新古典主義の理念に関心を移していることを明らかにしている。セネカ像の独創的翻案ともいえる『裸体のボルテール』(1776)の作者としても有名。
[上村清雄]