裸の身体のこと。現在でもニューギニア島などに全裸で暮らす人々がいるが、彼らには裸体の意識がない。ヌーディスト・クラブの人々がヌード生活をしているときも、同様である。そもそも「裸体」の観念は、人間が着衣するようになってからおこったもので、着衣生活を前提とする文化にあって、着衣していない状態を示すものといえよう。こうした文化では着衣を社会規範としているので、自分の裸を見せることはもちろん他人の裸体を見ることも羞恥(しゅうち)の対象、道徳的問題となる。また、セックスをするときは全裸も許容されるので、セックスと裸体が短絡されて意識されやすい。現代文明は、着衣生活を社会規範としているので、裸体は恥ずかしいものとされているが、こうした規範に反抗しようとする動きが、アメリカの若者などにある。
文明社会では古代ギリシアが裸体の美を評価した。着衣による外装の美を追ったヨーロッパでも、ルネサンス以来、芸術作品に限り、全裸の人体美を対象に取り上げた。すなわち、裸体の曲線、筋肉、四肢をはじめとする人体各部のバランス、明暗・色彩などの変化で、裸体美を本格的に追求してきた。ただし、男性像も扱う彫刻は別として、絵画では対象となるのが圧倒的に女性像が多いことは、一つの問題であろう。日本画ではモデルは裸婦でも、ポイントが、脱ぎかけた、あるいは脱いだ瞬間の緊迫にあるという日本的特徴がある。
[深作光貞]
字通「裸」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…D.モリスは,人は他の霊長類や哺乳類のような毛皮がない〈裸のサルnaked ape〉であるというが,毛皮の代りに衣服をまとって寒を避け,危険を防ぎ,身を飾る。太古の人類には衣服がなかったが,現在もアフリカ,アジア熱帯地方には裸体で生活する民族がいる。ギリシア語ギュムノスgymnosは〈裸の〉という形容詞で,英語のgymnosperm(裸子植物)などに今も残っている。…
※「裸体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新