所作(読み)しょさ

精選版 日本国語大辞典 「所作」の意味・読み・例文・類語

しょ‐さ【所作】

〘名〙 (「作」は「なす」の意)
① おこない。ふるまい。しわざ。所為。所行。特に、古くは読経、礼拝など神仏に対するおこない、日々の日課をいうことが多い。
※天台大師和讚(10C後‐11C前)「凡そ大師の一生の 所作の行業多けれど」
平治(1220頃か)下「やれ、おのれは義平が頸うつほどの者か。晴れの所作ぞ。よう斬れ」
仕事生業職業
今昔(1120頃か)三「昼夜に常に畋猟、漁捕を以て所作とする国也」
③ (karma 羯磨訳語) 仏語。身・口・意の三業が発動して造作する具体的な行為。能作に対していう。また受戒・懺悔などの作法をいう。
※真如観(鎌倉初)「我一人が所作(ショサ)の行業は無量劫を経とも、法界には満つべからず」
④ 身のこなし。身ぶり。しぐさ。動作
※南方録(17C後)覚書「この所作を人々感じ、捨つぼとてはやりたる事也」
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉二「一人々々の前へ行って辞令を出して挨拶をした。〈略〉向は一度で済む、こっちは同じ所作を十五返繰り返して居る」
演芸での身のこなし。演技。また、歌舞音曲などを演ずること。
※わらんべ草(1660)一「我がする、しょさの事なれば、わが心に、かなはぬまでも、心がけて、しらぬ事は、しれる人にとひ」
※歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)三幕「誂への鳴り物にて幕明く。ト直に所作(ショサ)のかかりになり」

そ‐さ【所作】

〘名〙 (「そ」は「所」の漢音) =しょさ(所作)
中務内侍(1292頃か)「清暑堂の御神楽は〈略〉そさの人、かねてより其の人々と定められて、皆まゐりぬ」

しょさ・る【所作】

〘自ラ四〙 所作事をする。踊りを踊る。
滑稽本八笑人(1820‐49)二「ちょいとした茶番がありやす。所で、野呂公が一番所作らうといふ存心だ」

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デジタル大辞泉 「所作」の意味・読み・例文・類語

しょ‐さ【所作】

行い。振る舞い。しわざ。「一日所作を日記に記す」
身のこなし。しぐさ。また、演技の動作。「大げさな所作をする」「役者の所作
所作事」の略。
仏語。身・口・意の三業さんごうが発動すること。能作に対していう。
仕事。職業。
「常に畋猟かり漁捕すなどりを以て―とする国なり」〈今昔・三・二六〉
[類語]振り身振りしぐさアクション素振り思わせ振り様子格好演技ジェスチャーポーズ外形外見外面外貌輪郭かたち形状姿すがた姿形すがたかたちなりなりかたち身なりなりふり服装風体ふうていスタイル姿勢姿態体勢かた物腰こなし身ごなし身のこなし振る舞い一挙一動一挙手一投足挙動立ち居振る舞い挙措

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普及版 字通 「所作」の読み・字形・画数・意味

【所作】しよさ

しぐさ。

字通「所」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の所作の言及

【所作事】より

…歌舞伎舞踊のこと。〈所作〉また〈振事(ふりごと)〉〈景事(けいごと)〉とも。歌舞伎の文献では1687年(貞享4)の《野良立役舞台大鏡》にみえるのが古く,所作事ははじめやつし事として,職業の意味での所作から,職業とくに職人の動きを舞踊に写したものであった。…

※「所作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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