朝日日本歴史人物事典 「ピニャテル」の解説
ピニャテル
生年:1846.8.17
幕末明治期に来日したフランス人貿易商。フランスのリヨン生まれ。1848年革命を避けて一家をあげて母の故国ロンドンに移住。文久1(1861)年父と共に長崎に来日,出島町5番地に住み洋品貿易商を営む。明治3(1870)年父の没後,家業を継ぐ。50歳まで未婚で過ごしたが,のち丸山の遊女まさきを愛人として迎える。3年後まさきと死別,愛惜孤独の生活を送った。この生活心情を知った斎藤茂吉はピニャテルにあい,歌集『つゆぐも』に「うら悲しゆふべなれどもピナテールが寝所おもひて心なごまん」ほか一連の短歌を発表,これによってピニャテルの名は有名となる。長崎で没した。<参考文献>平野豊「ピナテール」(『らーめる』1982年2号)
(越中哲也)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報