日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファッチーニ」の意味・わかりやすい解説
ファッチーニ
ふぁっちーに
Pericle Fazzini
(1913―1987)
イタリアの彫刻家。アドリア海岸のウンブリア州グロッタマーレに生まれ、家業の家具職人の修業をするが、1929年ローマに移って美術学校で学ぶ。初期の彫刻はロダンの影響が強かったが、35年の第2回ローマ・クワドリエンナーレ展に入賞するころから独自の形態感を獲得し、36年に制作した詩人ウンガレッティの肖像は一つの頂点を示す。初期にはほとんど木材を用い、職人的な技術を生かした単純で静謐(せいひつ)な造形がみられるが、後期には青銅を用い、そこでは動く人体と周囲の環境との調和に関心が払われている。マリーノ・マリーニ、ジャコモ・マンズーと並んで、第二次世界大戦後のイタリア彫刻の黄金時代を築いた。
[小川 煕]