改訂新版 世界大百科事典 「ファルナケス2世」の意味・わかりやすい解説
ファルナケス[2世]
Pharnakēs Ⅱ
生没年:?-前47
ボスポロス国王。在位,前63-前47年。ミトリダテス6世の息子。父が起こしたローマとの戦争の末期,父に対して反乱を企て自殺へと追いやった(前63)。これをローマに認められ,ボスポロス一帯の支配を任される。カエサルとポンペイウスとの内乱では後者に味方し,前48年ポントス王国再建をも目ざしてコルキス,小アルメニア(現在のトルコ北東部からアルメニア西部),カッパドキアを占領し,ニコポリスでカエサルの副官を打ち破った。しかし翌年ゼラの戦でカエサル自身に敗れた。有名な〈来た,見た,勝ったVeni,vidi,vici〉というカエサルの勝利報告はこの時のことである。ボスポロスに逃げ帰った彼は,反乱者アサンドロスとの戦いで最期を遂げた。
執筆者:田村 孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報