改訂新版 世界大百科事典 「ファンクレーフェ」の意味・わかりやすい解説
ファン・クレーフェ
Joos van Cleve
生没年:1485ころ-1540か41
フランドルの画家。本名はヨース・ファン・デル・ベーケJoos van der Beke。署名入り作品や注文の資料の欠如から,彼の年代的様式発展を知るのは困難であるが,今日では祭壇画《聖母の死》(ミュンヘン,ケルン)を描いた,いわゆる〈聖母の死の画家Meester van de Dood van Maria〉の一連の宗教画や肖像画がクレーフェに帰されている。おそらくイタリアに旅し,また1529年以後のある時期フランスのフランソア1世の宮廷に滞在した。イタリア・ルネサンス,とくにレオナルド・ダ・ビンチの影響をうけたフランドル・マニエリストの一人だが,それと同時に後期ゴシックの優雅で繊細な感覚も備えている。かなり大きな工房をもち,そこで同一画面を量産して外国にも輸出したらしい。
執筆者:森 洋子
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