フッ化黒鉛(読み)フッかこくえん(その他表記)graphite fluoride

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フッ化黒鉛」の意味・わかりやすい解説

フッ化黒鉛
フッかこくえん
graphite fluoride

炭素フッ素原子からなる黒鉛構造型の白色固体。フッ化炭素 carbon fluorideともいうが,フルオロカーボン(→フロン)と混同されやすく,構造上からもフッ化黒鉛が一般的である。安定な化合物として,(CF)n と (C2F)n が合成される。前者は,O.ルフによって発見され(1934),後者は渡辺信淳らによって発見された(1975)。ともに,表面エネルギーがきわめて低く,層状化合物で層間の結合が弱く,熱・薬品に強いという特徴をもつ。防水剤および防汚剤(撥水・撥油性が高い),潤滑剤および潤滑向上剤(摩擦係数がきわめて低い),離型剤および離型向上剤(焼き付きがない),電池用正極活物質などに用いられている。ニッケルまたはモネル製(→モネルメタル)の反応器(400℃以下ではアルミニウム製でも可)により,炭素材とフッ素による直接反応で得られる。反応温度は (CF)n で 600℃,(C2F)n で 400℃である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android