日本大百科全書(ニッポニカ) 「フランスの内乱」の意味・わかりやすい解説
フランスの内乱
ふらんすのないらん
Bürgerkrieg in Frankreich
マルクスの著作。1871年発表。史上最初のプロレタリア革命であるパリ・コミューン(1871)の経験を、マルクスが記念し理論化したもの。当時ロンドンにいたマルクスは、これに関する諸報道を注意深く分析したうえ、次のような教訓を引き出した。「労働者階級はできあいの国家機構をそのまま掌握して、自分自身の目的のために行使することはできない」。
パリ・コミューンは、プロレタリア革命の任務が、古い搾取国家を新しい型の国家に置き換えることにあることを実践のうえで示してみせた。のちにレーニンは、『国家と革命』のなかで、この新しい型の国家を詳細に検討し、その成果を歴史的に継承している。
[安藤 実]
『村田陽一訳『フランスにおける内乱』(大月書店・国民文庫)』▽『レーニン著、レーニン全集刊行委員会訳『国家と革命』(大月書店・国民文庫)』