フルコスト原理(読み)フルコストげんり(英語表記)full cost principle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フルコスト原理」の意味・わかりやすい解説

フルコスト原理
フルコストげんり
full cost principle

企業が価格を決定する際に,平均可変費用を基準とし,それに固定費用をカバーするための加算率 (マークアップ率) と一定比率の見込み利潤を加えて算出する方法。オックスフォード大学の R.ホールと C.ヒッチを中心とするいわゆるオックスフォード経済調査の研究『価格理論と企業行動』 (1939) によって明示的に提唱された。この価格理論は,多くの企業経営者は価格設定に際して限界収入あるいは限界費用 (→限界生産費 ) などに注意を払っていないという経験的事実に基づいた現実に即した価格理論として,限界原理の有効性に検討を加える契機をつくった。しかしこの理論は慣習的歴史的比率という以外に見込み利潤の水準の決定根拠を欠いているため,価格理論としては不十分とされている。

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