日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロトー」の意味・わかりやすい解説
フロトー
ふろとー
Friedrich von Flotow
(1812―1883)
ドイツの作曲家。貴族の家に生まれ、初めは外交官を目ざした。幼時から音楽の才能を示し、15歳のときパリ音楽院に入学、レイハ、ピクシスに作曲、ピアノを師事した。グノー、オッフェンバックなど当時流行のフランス・オペラのスタイルを身につけ、『ストラデッラ』などで成功。1847年にウィーンで初演された『マルタ』はとくに人気を博し、彼の名を一躍有名にした。56~63年シュベリン(ドイツ北部)の宮廷歌劇場総監督を務め、その後はパリ、ウィーンなどに住んでオペラなどの作曲を続けた。彼の作品は、フランスのオペラ・コミックの様式をもとに、明快さと親しみやすい旋律に満ちているが、全体の構成力や密度にはやや乏しく、現在上演される機会はまれになっている。
[美山良夫]