グノー(読み)ぐのー(その他表記)Charles François Gounod

デジタル大辞泉 「グノー」の意味・読み・例文・類語

グノー(Charles François Gounod)

[1818~1893]フランスの作曲家。オペラ・歌曲・宗教音楽にすぐれた作品を残した。作品に、オペラ「ファウスト」、歌曲「アベマリア」など。

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精選版 日本国語大辞典 「グノー」の意味・読み・例文・類語

グノー

  1. ( Charles François Gounod シャルル=フランソワ━ ) フランスの作曲家。オペラ、宗教音楽に傑作を残し、近代フランス音楽の先駆者となる。代表作は、オペラ「ファウスト」、歌曲「アベ‐マリア」など。(一八一八‐九三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グノー」の意味・わかりやすい解説

グノー
ぐのー
Charles François Gounod
(1818―1893)

フランスの作曲家。パリ近郊サン・クルーに生まれ同地に没。ピアニストの母から音楽の手ほどきを受け、少年時代から楽才を発揮、1835年パリ音楽院に入学、レイハ、アレビー、ル・シュールに師事し、作曲などを学んだ。39年ローマ大賞を受賞し、翌年から3年間ローマに留学。この間にメンデルスゾーンの姉ファニー・ヘンゼルと出会い、バッハ、ベートーベンらのドイツ音楽を深く知るようになった。またシスティナ礼拝堂パレストリーナの音楽を聴き、説教師ラコルデールと出会ったことから宗教に傾倒、一時は聖職者を目ざし、パリ帰着後も50年までは世俗を離れ、宗教音楽の作曲と演奏に専心し「師グノー」と自称した。51年、友人の歌手のためにオペラ『サッフォー』を作曲したのを機にオペラに進出したものの成功せず、一方、バイオリン、ピアノ、オルガンのための『バッハの前奏曲第一番による瞑想(めいそう)曲』(1853。この旋律はのちに歌曲『アベ・マリア』としても有名になる)、『聖チェチーリア荘厳ミサ曲』(1855)が成功、彼の名を一躍高めた。

 その後モリエールの台本を用いたオペラ・コミック『いやいやながら医者にされ』(1858)、オペラ『ファウスト』(1859)が成功、とくに後者は1869年にバレエ付きのグランド・オペラに改作した版によりいっそうの成功をかちえ、彼の代表作と目されるようになった。なおこのオペラは、一部分ではあるが、外国人素人(しろうと)音楽家による日本最初のオペラ上演(明治27年=1894)の曲目であった。短期間ワーグナーの音楽に心酔。その後、ミストラルの原作による『ミレイユ』(1864)、シェークスピアによる『ロメオとジュリエット』(1867)を除いてはオペラでは成功を得られなかった。1866年アカデミー会員に選ばれるが、70年、プロイセン・フランス戦争を避けロンドンに移り活動、晩年はフランスに戻ってふたたび宗教音楽の作曲に向かい、オラトリオ『贖罪(しょくざい)』(1882)などで成功を収めた。

 グノーは、従来主流であったグランド・オペラに対し、外面的効果よりも、魅力的な旋律、ドラマの進展にふさわしい音楽的、視覚的な効果を伴ったオペラ・リリックという領域を開拓、この、グランド・オペラとオペラ・コミックの中間に位置するジャンルの発展のために尽くした。また200曲ほどの歌曲では、サロン風の甘美ないし感傷的なロマンスを踏襲せず、詩の美しさやリズムを生かし、軽妙な表現、優美な旋律をもつものをつくった。そのため彼は、フランス近代歌曲の創始者に位置づけられている。これらの特質は彼の宗教音楽にも共通している。また彼は、ベルリオーズの才能を評価、年下のビゼーやサン・サーンスの楽才を世に知らせるために力を尽くした。

[美山良夫]

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百科事典マイペディア 「グノー」の意味・わかりやすい解説

グノー

フランスの作曲家。パリに生まれ,ピアノ奏者の母に音楽の手ほどきを受ける。パリ音楽院に学び,ローマ大賞を得てローマに3年間留学。同地でパレストリーナの教会音楽やJ.S.バッハらのドイツ音楽に開眼し,帰国後しばらくは教会オルガン奏者を務める一方,聖職者を志して神学を学び,宗教音楽に打ち込んだ。のちオペラに向かい,《ファウスト》(1859年,改訂1869年)で成功。一時期ロンドンで活動ののち,晩年は再び宗教音楽に専心し,オラトリオ《贖罪(しょくざい)》(1882年),《死と生》(1885年)などを完成した。ベルリオーズが切り開いたフランス近代音楽の継承者として,その節度ある音楽美学はのちのフランスの作曲家の範となった。また,フランス近代歌曲に残した功績も大きい。ほかに,《聖セシールの荘厳ミサ曲》(1855年),2曲の交響曲(1855年,1856年),遺作《レクエイム》(1893年)などが知られる。→トーママスネー
→関連項目ビゼーフロートーメトロポリタン歌劇場

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改訂新版 世界大百科事典 「グノー」の意味・わかりやすい解説

グノー
Charles François Gounod
生没年:1818-93

フランス・ロマン主義音楽の代表的作曲家。パリ音楽院でアレビーÉ.Halévy(1799-1862),ル・シュウールJ.F.Le Sueur(1760-1837)らに学び,カンタータでローマ大賞を得てローマに留学。3年間の留学中パレストリーナとJ.S.バッハに心酔し,帰国後教会の合唱長およびオルガニストに就任するかたわら,神学を学び,宗教曲を作曲し,脱世俗的生活をしばらく送った。留学時代に知り合った歌手のためにオペラ《サフォ(サッフォー)》を書いたのを機に,劇場音楽作曲家として活躍,《ファウスト》(1859)をはじめとする12曲のオペラを発表。晩年は再び宗教音楽の創作に専心,オラトリオ《贖罪(しよくざい)》(1882),《死と生》(1885)を作曲した。グノーは,比較的不振であったフランス音楽の復興につとめ,ベルリオーズに次いで,フランス楽派の祖といわれる。彼の作品の中心を占めるオペラは,《ファウスト》以外は,ほとんど忘れ去られているが,それまでの表現過多なグランド・オペラを排し,美しい旋律と節度ある表現によるフランス独自のオペラ・リリックを発展させた点で重要である。また,いわゆる〈グノーのアベ・マリア〉(バッハ《平均律クラビア曲集》の前奏曲第1番に歌詞とメロディをつけたもの)を代表とする歌曲のジャンルにおいては,当時流行したサロン風のロマンスから脱し,真に芸術的な新しいフランス歌曲,すなわち〈メロディ〉を確立するのに成功した。作品はオペラのほか,付随音楽,2曲の交響曲,室内楽曲,ピアノ曲,約20曲のミサ曲,数多くの歌曲など広範囲に及ぶ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グノー」の意味・わかりやすい解説

グノー
Gounod, Charles (-François)

[生]1818.6.17. パリ
[没]1893.10.18. パリ
フランスの作曲家。パリ音楽院で学び,ローマ大賞を得てローマに留学。宗教音楽に関心をもち,ミサやレクイエムのほか,多くの合唱曲を書いた。パリに戻ってオペラの作曲を始め,『ファウスト』 (1859) や『ロメオとジュリエット』 (67) が成功。晩年は『贖罪』などのオラトリオ,『ジャンヌ・ダルクのミサ』など多くの宗教曲を作曲。彼の音楽は優美な旋律と洗練された落ち着いた情緒に満ち,その後のフランスのオペラや歌曲に大きな影響を与えた。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「グノー」の解説

グノー

フランスの作曲家。1818年、画家の父とピアニストの母のもとに生まれる。母から初期の音楽教育を受け、36年にパリ音楽院に入学。39年にはローマ大賞受賞、ローマに留学する。3年間のローマ留学とその後のウ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「グノー」の解説

グノー
Charles Gounod

1818~93

フランスの作曲家。1859年歌劇「ファウスト」を作曲,優美な旋律,華麗な舞台によって大成功を収め,歌劇作曲者として活躍したが,青年時代および晩年は宗教音楽に専心した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「グノー」の解説

グノー
Charles Gounod

1818〜93
フランスのロマン派作曲家
宗教音楽に業績を残し,後年は歌劇作家としても活躍した。代表作「ファウスト」「サフォー」。

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世界大百科事典(旧版)内のグノーの言及

【ファウスト】より

…ドイツ・ロマン派特有の和声感をみなぎらせた内面的,重厚な音楽。(c)グノーの5幕8場のオペラ《フォースト》。ゲーテの第1部から恋愛場面を抽出してJ.バルビエとM.カレー共作のフランス語台本によって作曲,1859年(改訂版1869)パリのテアトル・リリックで初演。…

【フランス音楽】より

… しかしイタリア文明との出会いは,非キリスト教的古代への関心を誘い,詩人のJ.A.deバイフは勅許を得て1570年に〈文芸音楽アカデミー〉を設立,古代に学んで詩の韻律的な律動を厳密に追っていくシャンソンの作法を唱道し,ル・ジュヌClaude Le Jeune(1528から30‐1600),コートレGuillaume Cotelay(Costeley)(1530ころ‐1606)らが佳品を残した。 ル・ジュヌ,グディメルはユグノーの音楽家でユグノー詩編に作曲した。反宗教改革側もこれと競い,17世紀カトリックの強い神秘主義へと道を通じる。…

※「グノー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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