日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロレーンスキー」の意味・わかりやすい解説
フロレーンスキー
ふろれーんすきー
Пáвел Алексáндрович Флорéнский/Pavel Alexandrovich Florenskiy
(1882―1937)
ロシアの宗教思想家。その論及した対象は、神学、哲学、数学、物理学、文学、言語学、美学、歴史学、技術など文化全般にわたる。1904年モスクワ大学物理・数学部卒業後、モスクワ神学大学に入学。1908~1917年、神学大学で神学と哲学史を講じた。1911年ロシア正教の司祭の資格を得る。革命後は、科学者として旧ソ連国内の電化を中心的に推進したり、『技術百科事典』を編集したりしたが、1933年に信仰の放棄を拒否したため、反革命の罪で逮捕されて10年の刑に処せられ、まずカザフスタン南部のトルキスタン、ついで白海のソロベツキー諸島(ソロフキ)の収容所に送られ、1937年に銃殺された。主著は『真理の柱と証明』(1914)。V・S・ソロビヨフを発展させ、ギリシア正教に基づく「具象的な形而上(けいじじょう)学」の構築を目ざした。
[安井亮平 2018年2月16日]