日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリハスパティ」の意味・わかりやすい解説
ブリハスパティ
ぶりはすぱてぃ
Bhaspati
古代インドの神。ブラフマナスパティBrahmaaspatiともよばれる。祈祷(きとう)の語を神格化したものとされ、祈祷主と訳されている。インド最古の聖典『リグ・ベーダ』の創造神話において、ブラフマナスパティは宇宙創造者とみなされていた。「ブラフマン」は、後のウパニシャッド思想においては宇宙の根本原理とみなされるが、『リグ・ベーダ』においては、聖なる祈祷の語、讃歌(さんか)を意味するものと解されている。このブラフマンをつかさどる神がブラフマナスパティまたはブリハスパティであると考えられる。彼は鍛冶(かじ)工のように、この万物を鍛えて創造したとたたえられる。後代になると、ブリハスパティは、神々の司祭、教師とみなされるようになり、処世論その他の論書の創始者と仰がれた。また、ブリハスパティの名は、木星と結び付けられた。
[上村勝彦]