木星(読み)モクセイ

デジタル大辞泉 「木星」の意味・読み・例文・類語

もく‐せい【木星】

Jupiter太陽系の5番目の惑星。太陽からの平均距離は7億7830万キロすなわち5.2026天文単位。周期9時間56分で自転し、11.862年で公転する。最大光度マイナス2.8等。太陽系の惑星中最大で、赤道半径が7万1492キロ、質量は地球の317.83倍。表面には赤道に平行な縞模様が見られ、南半球に卵形の大赤斑がある。90個以上の衛星と、3本の淡い環をもつ。歳星。ジュピター
[補説](おもな衛星)イオエウロパガニメデカリストアマルテアヒマリアエララパシファエシノペリシテアカルメアナンケレダテーベアドラステアメティスカリロエテミストメガクリテタユゲテカルデネハルパリュケカリュケイオカステエリノメイソノエプラクシディケアウトノエテュオネヘルミペアイトネエウリュドメエウアンテエウポリエオルトシエスポンデカレパシテーヘゲモネムネメアオエデテルクシノエアルケカリコレヘリケカルポエウケラデキュレネコレー
[類語]太陽系水星金星明星明けの明星宵の明星地球火星土星天王星海王星

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共同通信ニュース用語解説 「木星」の解説

木星

太陽系の内側から5番目に位置し、大きさや質量が最大の惑星。赤道の半径は7万1千キロで地球の11倍、質量は地球の320倍ある。太陽からの距離は平均で約7億8千万キロ、地球と太陽の距離の約5倍離れている。12年かけて太陽を周回し、約10時間で自転している。水素やヘリウムのガスが主成分。赤道に平行に見えるしま模様や赤い斑点が特徴。(ワシントン共同)

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精選版 日本国語大辞典 「木星」の意味・読み・例文・類語

もく‐せい【木星】

  1. 太陽系第五番目の惑星。太陽からの平均距離七億七八三三万キロメートル。惑星中最も大きく、赤道半径七万一四〇〇キロメートル。体積は地球の一三一八倍、質量は三一八倍、公転周期一一・八六年、自転周期九時間五五分。水素・ヘリウムを主とする大気がある。衛星は一六個以上。歳星。太歳。ジュピター。
    1. [初出の実例]「太白・木星・火星となり、西の方によひよひにすでに犯分に三合のよりあいたりけるに」(出典:愚管抄(1220)六)
    2. [その他の文献]〔史記‐天官書〕

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改訂新版 世界大百科事典 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星 (もくせい)
Jupiter

基本情報
軌道半長径=5.2026天文単位 
離心率=0.0485 
軌道傾斜=1°.303 
太陽からの距離 最小=7.406×108km 平均=7.783×108km 最大=8.160×108km 
公転周期=11.862年 
平均軌道速度=13.06km/s 
会合周期=398.9日 
赤道半径=7万1492km 
体積=1321(地球=1) 
質量=317.831(地球=1) 
平均密度=1.33g/cm3 
自転周期=0.4135日 
赤道傾斜角=3°.07 
アルベド=0.52 
平均極大光度=-2.8等 
赤道重力=2.37(地球=1) 
脱出速度=59.53km/s

太陽系の第5惑星で,最大の惑星でもある。表面には縞模様と呼ばれる赤道と平行した赤褐色の模様が見られる。南緯20°のあたりに,東西約3万5000km,南北約1万5000kmに及ぶ大赤斑と呼ばれる楕円形の模様があり消長を繰り返している。

 1973年12月に惑星探査機パイオニア10号が表面から12万9000km,74年12月にはパイオニア11号が4万1000kmまで接近して初めて近接観測に成功したが,79年3月と7月にはボエジャー1号と2号がそれぞれ27万8000kmと64万kmまで接近して一段とくわしい観測を行い,これによって木星とその衛星のなぞのかなりの部分が解明された。95年12月は探査機ガリレオがプローブを大気中に降下させたほか,周回軌道から観測を続けている。

 長年の模様観測から,赤道域の自転周期として9時間50分30.003秒,中緯度の自転周期として9時間55分40.632秒という値が求められた。これをそれぞれシステムⅠ,Ⅱと称する。一方,電波観測から固体核の自転周期と考えられる9時間55分29.37秒という値が求められ,これをシステムⅢと称する。システムⅡとⅢはほぼ等しいが,システムⅠが5分も短いのは赤道域に100m/sを超える偏西風が吹いていて,これによって運ばれる雲の模様から求められたものだからと考えられている。多くの模様は独自の自転周期をもっており,大赤斑はシステムⅡに対し,年に平均29°も移動し,さらに平均位置の東西に発見以来±500°も動き回っている。大赤斑と同じ緯度に出現する南熱帯かく乱は大赤斑より短い自転周期をもち,しばしば大赤斑の下をくぐりぬけて追い越していく。

 赤外線観測によれば,表面雲層付近の温度は-139℃で,雲の成分は上層では固体アンモニア,下層では硫化水素アンモニウムNH4SHと水(氷)と考えられている。固体アンモニアの雲の層の大気圧は0.6atm程度である。雲は上層気流の部分に生じ,これが明るい帯となって木星をとりまき,逆に下降気流の部分が赤褐色の縞模様となって見える。帯は縞より4度ほど高温であるが,縞でも雲が晴れて透明な部分(青っぽく見える)は下層の高温部が観測にかかる。高度による温度傾斜は断熱逓減率より少し小さい-1.9°/cm程度である。大気は水素(89%),ヘリウム(11%)を主成分とし,メタン,アンモニア,アセチレン,エタンなどが全体で0.1%ほど含まれている。厚さは約1000kmあり,底では温度約1500K,圧力約30atmに達している。その下は高圧の液体水素の層があり,底の温度は1万1000K,圧力300万atmである。さらにその下は高温高圧のため自由電子を含んで電導性を生じた厚い金属水素の層があり,中心部は固体核があると考えられている。中心の温度は約3万K,圧力は1億atmに達する。木星は太陽から受けたエネルギーの約2倍の熱量を放出している。余分の熱量は主として木星の収縮による重力エネルギーによっておぎなわれていると考えられ,それには木星の半径が年に1mmずつ減少すればよい。

 強大な重力と速い自転のため木星の大気活動はきわめて活発である。縞模様は大気の大循環によって生じているが,縞の本数が多いのは大きなコリオリ力の結果である。台風に相当する渦が各所に発生し,その寿命もきわめて長い。渦の最大のものは大赤斑で,消長はあるが,すでに300年も観測されている。内部の風速は55m/sに達し6日間で反時計方向に回転している。縞模様の色は窒素,リン,硫黄を含んだ化合物によって生じていると考えられ,地上実験でも放電によって赤っぽい化合物が容易に合成されることがわかっている。

 大気圏の上層は厚さ3000cmの電離圏となっている。電離層は数層あり,プラズマ温度は数百Kに達している。イオンは地球と違ってH⁺がほとんどで,ほかにH2⁺,H3⁺,CH3⁺なども存在する。

 木星の磁気圏はきわめて強力でその勢力範囲は8×106~11×106kmに達している。表面での磁場は赤道で4~7ガウス,極で10~14ガウス,磁極の向きは自転軸に対し9°傾いている。地球の500倍もの強度をもつ放射能帯には数MeV以上の電子,1MeV程度の陽子が存在し,強力な電波を放出している。惑星電波が最初に発見されたのは木星で1955年のことである。この電波は波長十数m程度のデカメートル波で,木星の磁極付近から出ている。磁気圏から出る電波は波長の短いマイクロ波で,地上観測から木星の磁気圏の状態を知る手がかりとなった。一方,惑星探査機は直接磁気圏の中からその状態を探り,磁場の赤道にそって遠方まで電流が流れており,磁気圏を遠くにひろげる役割を果たしていることをつきとめた。

 木星は多くの衛星をもっている。昔から知られているものは木星に近い順に,Ⅴアマルテア,Ⅰイオ,Ⅱユーロパ,Ⅲガニメデ,Ⅳカリスト,ⅩⅢレダ,Ⅵヒマリア,Ⅶエララ,Ⅹリシテア,ⅩⅡアナンケ,ⅩⅠカルメ,Ⅷパシファエ,Ⅸシノーペと呼ばれる。探査機によってさらにⅩⅥメティス,ⅩⅤアドラステア,ⅩⅣテーベが追加確認された(発見は地上)。このうちⅠ~ⅣはG.ガリレイが1610年に発見したのでガリレオ衛星と呼ばれる。その詳細については〈衛星〉の項目を参照されたい。Ⅷ,Ⅸ,ⅩⅠ,ⅩⅡは逆行衛星である。

 ボエジャー1号は木星にも淡い環があることを発見した。主環の木星中心からの距離は12万2800~12万9200km,明るい部分の幅は800kmである。淡い第2環は主環の内側から木星表面までひろがっている。また,衛星イオの活火山から噴きあげられた硫黄やナトリウムはイオの軌道にひろがり,さらに内側に入っていって,アマルテアの表面を赤く染め,環をこえて木星表面にまで達している。
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木星は最大の惑星であり,ギリシア・ローマ神話の神々の王たるゼウスユピテル(英語のジュピター)と同一視された。錬金術ではスズのシンボル。占星術では大いなる幸福の惑星とみなされ,吉位にある場合は長寿と栄誉をもたらし,率直,博愛,賢明,正義の性質を授けるとされる。逆に凶位にある木星は,妄想,うぬぼれ,虚栄心の強い人間をつくる。人体の支配部位は,肺臓,肋骨,動脈,精子,肝臓で,多血質,卒中性の体質を生むとされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星
もくせい
Jupiter

太陽系惑星の一つ。太陽から第5番目の距離にある。太陽系の惑星では大きさ、質量とも最大で、直径は地球の約11倍の14万2984キロメートル(1気圧となる大気の高さまで)で、質量は地球の約318倍。これは太陽の質量の約1000分の1に等しく、他の惑星をあわせた質量の約2.5倍である。自転周期は約9.93時間で、太陽系惑星のなかでもっとも短い。太陽からの平均距離は5.203天文単位(7億7800万キロメートル)で、太陽から木星まで光速で約43分かかる。火星軌道の外側を11.86年かけて公転し、軌道離心率は0.048。木星の赤道はその軌道面に対し約3.1度だけ傾いている。

 地球から見てもっとも明るく見えるときにはマイナス2.94等にもなる。これは1等星の明るさの約38倍である。深夜に木星が明るく見えるころは「真夜中の明星」と表現されるほどである。

 ほとんどが水素(質量の約86%)とヘリウム(約14%)からなるガス成分主体の惑星であるため、土星とともに巨大ガス惑星ともよばれる。土星のような氷のかたまりや粒からなる大規模なリングではないが、木星にもダストからなる小規模なリングが、後の探査機ボイジャー1号による木星接近時に発見された(1979)。

 木星の衛星は2024年2月の時点で、95個がみつかっている。1610年1月、ガリレオ・ガリレイは望遠鏡を木星に向けた最初の人間となり、四つの衛星を発見した。まとめて「ガリレオ衛星」とよばれる。ドイツのシモン・マリウスSimon Marius(1573―1624)が先に見ていたと優先権を主張したが、ガリレイの発表が早かったこともあり、ガリレイの発見と広く認められている。衛星それぞれの名前には、マリウスが提案した名前(木星に近い順にイオ、ユーロパ〈エウロパ〉、ガニメデ、カリスト)が広く使用されるようになった。

 ガリレオ衛星の運行表を1668年に発表したイタリアのG・D・カッシーニはパリ天文台に招かれ天文台長となったが、ガリレオ衛星の運行をさらに正確に求めようと、デンマーク出身のO・レーマーを雇った。レーマーはイオの食(木星の影に入って減光する現象)が起こる時刻が予測に対してずれが生じることに気づいた。そして光の速度は(当時の常識であった)無限ではなく有限であり、地球から木星までの距離が変化しているためであると結論し、光の速度を実際の光速の70%ほどと見積もった(1676)。

 ガリレオ衛星のカリスト、ガニメデは氷成分に富む(岩石と氷半々ほど)衛星とみられている。一方、内側のユーロパとイオは岩石成分が主の衛星とみられている。

 イオは木星から42万2000キロメートルの軌道を約1.8日で1周。衝突クレーターが見られないのは表面が火山噴出物で絶えず新しくなっているからである。1979年、ボイジャー・チームのエンジニアだったリンダ・モラビトLinda Morabito(1953― )は、イオ表面から270キロメートルも上昇している傘のような形のものを発見。イオにおける火山の発見はほとんどの天文学者にとって意外なものだったが、ボイジャー1号による接近の1週間前、サイエンス誌に発表された論文でイオにおける火山の存在が示唆されていた。イオ内部では潮汐摩擦でどろどろになっている部分がかなりあり、ボイジャー1号の画像にその証拠がみつかるかもしれないという内容だった。そして、実際にボイジャー1号が通過した時には、八つの火山がみつかった。なお、イオには二酸化硫黄(いおう)などからなる希薄な大気がある。

 ガニメデは太陽系でもっとも大きな衛星で、惑星の水星よりも大きく、固有磁場をもつ唯一の衛星である。溝状の地形はガニメデ表面の約3分の2を占めるが、成因はよくわかっていない。酸素を主成分とする希薄な大気が存在し、オーロラを輝かせている。

 ユーロパの表面は大部分が水氷に覆われているが、その下には水の海が存在する証拠がみつかっている。

 カリストの表面に地質活動の痕跡(こんせき)は皆無に近く、古くからの多数の衝突クレーターで覆われている。カリストでも、ユーロパやガニメデと同様に内部に海が存在する可能性がある。

 木星に見られる大赤斑(だいせきはん)の過去の姿とみられる最初の記録は、1831年9月5日にドイツのアマチュア天文家H・シュワーべが観測したもののようである(1660年代にも似たものの記録があるが、大赤斑と同一のものかは不明)。1879~1880年の大赤斑は経度にして35度近くまで(長さ約4万キロメートル)に大きくなっていた。それ以降は短くなっていき、ボイジャー探査機(1号と2号)の木星接近のころ(1979~1980年)には21度にまで短くなった。2013~2014年には13.6度(長さ1万5900キロメートル)にまで縮み、2023年には10.0度(長さ1万2500キロメートル)と地球の直径サイズ程度になっている。また、高気圧の渦である大赤斑の回転周期も変化しており、1970年代には約6日の周期であったが、2006年には4.5日、2014年には3.8日になっている。ジュノー探査機の重力測定によると、大赤斑の深さは約500キロメートルという。なお、大赤斑の発生メカニズムはよくわかっていない。

 木星は強力な電波源でもある。木星磁気圏から放射されている電波のなかでもっとも強いのが波長およそ10メートルのデカメートル波で、1955年に「かに星雲」からの電波観測中に偶然発見された。この木星電波の放射メカニズムにはまだ未知の部分が多く、さまざまなモデルが提唱されている。木星磁場の軸は自転軸に対し約10度傾いている。木星磁気圏に太陽風が衝突し、太陽側の磁気圏界面は木星半径の約45倍に及び、磁気圏尾部は数天文単位程度も広がり、土星の軌道と交差しているほどである。木星磁気圏にとらわれた荷電粒子は、上層大気と相互作用しオーロラが発生する。オーロラは地球のオーロラよりも、多くの波長帯で地球のオーロラの100倍以上明るく光っている。磁場の極性(S/N)は地球とは逆で、北をさす地球上のコンパスは木星では南をさすことになる。

 木星の主成分は、太陽と同じく水素とヘリウムである。大気に入っていくと圧力や温度の高まりによって、半径の半分程度で水素ガスが液体となる。この液体水素は金属のような性質をもち、電気を通す。自転の速さもあり、液体水素領域に電流が発生し、強力な磁場が生み出される。水素が金属化する付近では、H/He(水素/ヘリウム)分離が起き、He液滴の沈降に伴って解放される重力エネルギーは内部熱源候補とされている。ジュノー探査機でもたらされた高精度な重力場情報によって、木星内部には最大で木星半径の半分程度の巨大で低密度なコア(氷・岩石のコア成分が水素・ヘリウムと混合)が存在する可能性も出てきた。木星表面に見えるのは雲の頂上部で、上層はアンモニアの氷の雲。中層は硫化水素アンモニウムの粒子で、表層から80キロメートル下には水(液体)の雲がある。約10時間という高速自転のため、激しいジェット気流が生じている。

 1993年3月、パロマ山の口径46センチメートルシュミット望遠鏡でユージン・シューメーカーEugene Shoemaker(1928―1997)、キャロライン・シューメーカーCarolyn Shoemaker(1929―2021)、そしてデイビッド・レビー(リビィ)David H. Levy(1948― )らのチームによって新彗星(すいせい)が発見された。彼らの発見した9番目の短周期彗星だった。シューメーカー‐レビー第9彗星(SL9)と名付けられたこの彗星は、まもなく20個以上の破片に分裂していることが判明。前年の7月に木星のそばに大接近したため、潮汐力でばらばらに分解したものとみられた。1994年7月にはこれらの破片が次々に木星に衝突していくことが予測されたが、衝突地点は地球からは直接見えない木星の裏側の南半球だった。自転によって木星の向きが変わると、衝突痕が地球からもはっきりと見えるようになった。その後もこうした木星への天体衝突が観測されており、SL9の例を含め2023年11月までに14件が報告されている。

 SL9の木星衝突は、天体衝突の危険を人類に知らせる警鐘ともなり、20世紀末以降、アメリカ、日本、ヨーロッパなど、世界各地で地球接近天体をみつけだす観測が強化されていった。

[山田陽志郎 2024年6月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星
もくせい
Jupiter

太陽系の最大の惑星。赤道半径 7万1492kmで地球の 11倍をこえ,質量は地球の 318倍,平均密度は約 1.3。形状はいくらか扁平な回転楕円体。土星小惑星帯の間を公転し,太陽からの距離は近日点遠日点でそれぞれ 7億4000万kmと 8億1600万km。離心率は 0.048。公転周期は 11.86年。光度は,暗いときで-1.4等,の近くでは-2.5等で金星に次ぐ。黄色でアルベド 0.73,中央より周辺部が暗い。自転方向に大気の動きを示す横縞模様があり,赤道の南側には大赤斑があって,1878年以来系統的に観測されている。自転方向は順行で,赤道帯で自転周期 9時間50分30秒であるが,緯度によっていくらか異なる。赤道面傾斜は 3.1°。1994年7月にシューメーカー・レビー第9彗星が衝突。その観測結果より木星大気の奥に氷を含む層があることが確認された。衛星は 66個。うちイオエウロパガニメドカリストの 4個は有名なガリレオ衛星(→ガリレイ)で,1610年望遠鏡の発明とともに発見され(→ガリレイ式望遠鏡),地動説を確立,普及するのに役立った。1979年に木星に相次いで接近したアメリカ合衆国の無人惑星探測機ボイジャー1号,2号(→ボイジャー)により撮影された写真から,木星の環が発見された。この環は厚さ 31km以内,木星表面から約 5万8000kmの距離まで広がっている。環の構成物質は外側の 6500kmの範囲に密集しているが,その内側にも散在する。

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百科事典マイペディア 「木星」の意味・わかりやすい解説

木星【もくせい】

太陽系の第5惑星。太陽との平均距離7億7830万km(5.2天文単位),公転周期11.86年。平均極大光度−2.5等。赤道半径7万1500km,極方向にかなり扁平(扁率1/15)。体積は地球の1321倍,質量は318倍で惑星中最大。比重1.33。自転周期0.41日。表面に赤道に平行な縞(しま)模様が見え,南半球の中ほどに長さ約3万5000km,幅約1万5000kmの楕円形の大赤斑がある。 パイオニア10号(1973年),11号(1974年),ボエジャー1号(1979年),2号(1979年),ガリレオ(1995年―1996年)の探査により,木星とその衛星はかなりくわしくわかった。木星大気は水素,メタン,アンモニア,水蒸気の分子の存在が認められ,ヘリウムの水素分子に対する体積比は0.11±0.03と測定された。大気上層では暴風も観測されている。また木星の縞模様は大気内の対流によって生ずる物質の運動で,波動でないことがわかり,大赤斑は大気の巨大な渦(うず)運動で,物質が大赤斑の周囲を約6日の周期で回転していることがわかった。オーロラは紫外域で観測され,雲の頂上に稲妻が見られた。木星の磁場は双極子場のほか4重極や8重極も観測され,複雑な様相を示し,表面での磁場の強さは4〜14ガウスと推定される。磁軸は自転軸に対し9°傾いている。磁気圏の尾は木星からその半径の160倍以上ものびている。ボエジャー1号によって木星の環が発見されたが,これは半径12万8300±100kmで,厚さ30km以下,外縁から6500kmくらいの部分に大部分の物質が集中している。 衛星の観測では,第I衛星イオの表面で活発な火山活動が認められ,第II衛星ユーロパ,第III衛星ガニメデの表面には複雑な造山運動の跡が認められた。第V衛星アマルテアは細長い形をしており,公転と自転が同期している。さらに第XIV,XV,XVIの3衛星が発見されている。これらの衛星のうち第I〜第IV衛星(第IV衛星の名はカリスト)は1610年ガリレイが発見したのでガリレオ衛星と呼ばれる。第VIII,第XI,第XII衛星は逆行衛星。 木星はギリシア神話ではゼウス,ローマ神話ではユピテル(ジュピター)と同一視され,占星術では大いなる幸福の惑星とみなされる。錬金術ではスズを象徴。
→関連項目ボエジャーユピテル

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知恵蔵 「木星」の解説

木星

第5番目、太陽系最大の惑星。ガリレオの4大衛星や縞模様で知られる。半径は7万1500kmで地球の11.2倍、質量は同319倍で、水素を主成分とするガス惑星。自転周期は約10時間と短く、激しい大気の流れが、赤道に平行な帯や縞模様を作る。大赤斑(大赤点)と呼ばれる、地球より大きな渦が半永久的に存在する。最近、大きさが大赤斑の半分ほどの赤みがかった巨大な渦が出現し、小赤斑と呼ばれ注目されている。パイオニア(1973、74年)やボイジャー(79年、いずれも米)などの探査機により、環の存在、大気中の雷、強力な磁場によるオーロラ発生などが観測された。これまでに63個の衛星が確認され、うち4個は17世紀初めにガリレオが発見し、ガリレオの4大衛星として知られている。一番内側の衛星イオには、地球以外では初めて火山の噴火が観測された。噴火のエネルギーは、木星の潮汐力による発熱と考えられる。また、衛星エウロパの表面は100〜200kmの厚い氷の層に覆われ、複雑な筋状の模様が交錯している。氷の下には水の海があるものと推測され、生命存在の可能性が研究されている。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

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占い用語集 「木星」の解説

木星

射手座の支配星。魚座の副支配星。古代ローマ神話のジュピター(ギリシャ神話のゼウス)から命名。木星の公転周期は11.86年なので、各ハウスに約一年間留まる。木星は昔から「吉星」とされ、木星が運行しているハウスに太陽星座があると、「12年に一度の大幸運期」などと一般的に言われている。寛容、寛大、許容、推進力、チャンスや援助を意味する。

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世界大百科事典(旧版)内の木星の言及

【風】より

…一方,こうした雲の動きとは別に一連の人工衛星による風の観測が行われ,金星の上層大気は100m/s前後の速度で運動していることがわかった。
[木星]
 木星の雲はいろいろの層をなして大気中に浮かび,また規則正しく帯,縞模様を織りなして特徴ある木星の素顔をつくっている。雲の動きから,帯の赤道側は遅く回転し,極側はより速く回転しており,縞部分はその逆となっていることが解明された。…

【肝臓】より

…なおカニの〈みそ〉はこの中腸腺である。【玉手 英夫】
[肝臓の文化史]
 プトレマイオスによれば金星が肝臓を支配する(《四書(テトラビブロス)》3巻)のだが,その後の占星術的医学では木星がおもな支配遊星であるとする(H.L.コーネル《医学的占星術百科》)。パラケルススは《ヘルメス文書》の〈ポイマンドレス〉の影響を受けて,人体の七つの器官はそれぞれ七つの遊星から生命を得てみずからを維持しており,不変な王者の座にある木星は肝臓の遊星でこれを意味づけているとした。…

【歳星】より

…木星の古代中国名。五星の一つ。…

【大気】より

…地球や木星など太陽系の惑星を囲んでいる気体を大気あるいは惑星大気という。その中で,地球の重力によって地球とともに回転している気体を地球大気といい,一般には大気といえば地球大気を指す。…

【中国天文学】より

…占星術が起こり,日食や惑星の運動に注目するようになった。惑星の中,とくに木星(〈歳星〉という)の位置によって国家の安危を占うことが行われ,そのために〈二十八宿〉や〈十二次〉によって天空を分割することが行われた。戦国時代になると石申や甘徳などの天文学者が出て盛んに天体観測を行ったが,前4世紀の半ばごろには1年を3651/4日とする〈四分暦〉が考案され,19年や76年の周期を利用して整然とした太陰太陽暦がつくられた。…

【天文学】より

…惑星運動に注意するのもこれからまもなくの時代であろう。惑星の中でもっとも光の強い木星は12年で天を1周することが知られ,したがって木星の位置によって〈歳〉をしるすという意味でこれが〈歳星〉とも呼ばれた。木星の位置によって国家や支配者の運命を占うことが行われているのは,西方の占星術の発生とまったく相似ている。…

【二十八宿】より

…二十八宿の起首が角宿から始まるのは,角宿が北斗七星の斗柄が指す方向に当たっていて,斗柄の方向によって1年の季節を定めた時法との結びつきのなごりとされている。前4世紀の初めから周天を12の等間隔に分ける十二次が用いられ,そこを木星が1年に1次ずつ12年間でめぐっていく位置によって年を記す歳星紀年法が成立した。歳星紀年法は太歳紀年法や太陰紀年法(木星の鏡像の位置によって年を表す方法)に発達したが,十二次の方法は中国天文学では二十八宿の体系に代わることはなかった。…

【惑星】より

…遊星とも呼ばれる。内側から水星,金星,地球,火星,木星,土星,天王星,海王星,冥王星の9個があり,その多くは衛星をもつ。また火星と木星の間には数多くの小惑星があり,惑星に集積し切れなかったなごりの物体群と考えられている。…

※「木星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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