改訂新版 世界大百科事典 「ブンデールカンド」の意味・わかりやすい解説
ブンデールカンド
Bundelkhand
インド北部,ウッタル・プラデーシュ州とマディヤ・プラデーシュ州とにまたがる地方名。面積約5万5000km2。中心都市はジャーンシー。地名は14世紀ころこの地に定着したラージプート族のブンデーラー氏族に由来する。北はヤムナー川,西はシンド川,南はビンディヤ山脈最北東端,東はバゲールカンドに接する。北の3分の1はガンガー(ガンジス)川中流域の沖積平野で,南のデカン高原前山部とは150m等高線で分かたれる。後者は3段の階段状地形を示し,その間をベートワ,ケーンなどの諸河川が流れ,狭長な河谷平野を形成する。農業は自給用の雑穀と小麦を主とし,工業もサリー,靴などの家内工業,製材業などに限られ,北インドでは最も停滞的な地域の一つである。9~13世紀にはチャンデッラ朝に属し,カジュラーホの寺院群は同朝最盛期に建立された。1857年のインド大反乱(セポイの乱)に際し最後まで戦ったラクシュミー・バーイーはジャーンシーの王妃であった。英領時代,高原部には小藩王国が分立した。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報