サリー(読み)サリー[はく](英語表記)Surrey

翻訳|Surrey

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー(伯)
サリー[はく]
Surrey, Henry Howard, Earl of

[生]1517. ハンズドン?
[没]1547.1.13. ロンドン
イギリスの詩人,軍人。ヘンリー8世の廷臣。貴族の名門に生まれ,1532年フランスに渡り,約 1年フランス宮廷に滞在ののち,帰国。1543~46年にはフランス,フランドルで軍務に服した。1546年に帰国したが,政敵シーモア家の策謀によって反逆罪で処刑された。行動力と勇気と感受性を兼ね備え,ジョージ・ゴードン・バイロンを思わせる資質と行状の持ち主であり,のちにそのロマン的な才気をうたわれた。文学史のうえではまずトマス・ワイアットとともに初めて英詩にソネットの形式を導入,確立したことで知られる。技巧的にはワイアットより優れ,フランチェスコペトラルカ風の伝統の影響をより強く受けながらも,イタリア(ペトラルカ)風の形式を変革してイギリス(ウィリアム・シェークスピア)風ソネットを生み出す端緒を開き,エリザベス朝独特のソネット形式を準備した。しかし最大の功績は,『アエネイス』の第2巻と第4巻の英訳に初めて無韻詩を用いたことであろう。恋人ジェラルディンをたたえたソネット,そのほか優雅で仕上げのみごとな 40編の作品は,『トトル詩選集』Tottel's Miscellany(1557)に収められた。

サリー
Sully, Thomas

[生]1783.6.19. イギリス,リンカーンシャー,ホーンカッスル
[没]1872.11.5. アメリカ,ペンシルバニア,フィラデルフィア
イギリス生れのアメリカの画家。チャールストンで修業。 1810年フィラデルフィアに定住。当代の最も有名な肖像画家の1人として活躍し,「アメリカのトマス・ロレンス」と呼ばれて一般に親しまれた。代表作は『ハープを持つ婦人』 (1818,ワシントン・ナショナル・ギャラリー) ,『ビクトリア女王』 (38~39,メトロポリタン美術館) 。

サリー
Sully, James

[生]1842.3.3. サマセット,ブリッジウォーター
[没]1923.11.1. サリー,リッチモンド
イギリスの心理学者。ロンドン大学教授。業績は,感覚直観児童,さらに美学など広範にわたり,特に 19世紀末の代表的教科書の著述で著名。主著『心理学大要』 Outlines of Psychology (1884) ,『人間の心』 Human Mind (92) 。

サリー
saree(sari)

インドパキスタンのヒンドゥー教徒女性の着用する巻衣形式の代表的な民族服。概して薄地の絹や木綿でできた大きなショール型で,チョリ choriと呼ぶタイトな短いブラウスの上に着用する。腰から肩に巻きつけ,余りの部分は背側に垂らしたり,頭からかぶったりする。4世紀頃までは男子も着用したという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー(民族衣装)
さりー
sari
saree

インドやパキスタンでおもにヒンドゥー教徒の女性が着用する民族衣装。長さ5~11メートル、幅1メートルほどの1枚の大きな布で、ペチコートとチョリcholiを着た上に巻き付けて装う。着方は、ペチコートのウエストに、襞(ひだ)を畳みながらサリーを入れ、右側から体を包むように左肩に巻き付け、残りの部分を頭にかぶったり、肩から後ろに流したりする。巻き付け方は身分、場合、地域などを表し、微妙な違いがみられる。後ろに長くトレーンを引く形、あるいは余った部分を股間(こかん)を通してルーズなズボン風に着付ける方法などもある。普段用サリーには絹ジョーゼット、シフォン、木綿地などの柄物(がらもの)、無地が使われるが、装飾的なボーダー柄になっていることが多い。フォーマルなものには、より厚手の多彩な色彩の布地が用いられ、金糸・銀糸を織り込んだ豪華なものも多い。サリーの下に着て胸を支えるブラジャーの役割を果たすチョリは普通前あきで、丸型、V型、角型などのネックライン、袖なし、短袖、長袖がある。チョリとともにネックレスを飾り、サリーが完成される。

[深井晃子]


サリー(イギリス)
さりー
Surrey

イギリス、イングランド南部、大ロンドンの南部および南西部に隣接するカウンティ(県)。面積1677平方キロメートル、人口105万9015(2001)。県都ギルドフォードGuildford。ケスタ地形が発達する丘陵性低地で、侵食されにくい白亜層が、東西に延びるノースダウンズ丘陵を形成する。大ロンドンに隣接する地域はその緑地帯に指定され、その外縁部も首都圏に含まれる。郊外住宅が発達し、ダービー開催競馬場で知られるエプソンのような有名行楽地もある。住宅地の外縁には、ロンドン市民に牛乳、野菜、果物などを供給する酪農、園芸農業を含む近郊農業が発達。ガラス、鉄工業や製粉業も立地し、とくに北部のテムズ川沿岸にはロンドンから続く工業地区が存在する。

[久保田武]

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