改訂新版 世界大百科事典 「ブーラサ」の意味・わかりやすい解説
ブーラサ
Joseph-Napoléon-Henri Bourassa
生没年:1868-1952
カナダの政治家。L.J.パピノーの孫,芸術家のN.ブーラサの息子としてモントリオールに生まれ,ケベック州のフランス系カナダ・ナショナリズムを代表する人物であった。1896年カナダ下院に選出されるが,99年自由党W.ローリエ内閣のボーア戦争介入に反対して議席を辞した。1910年以来《義務》誌を刊行,海軍創設に反対して11年総選挙におけるローリエの敗北に影響力を及ぼした。さらに保守党R.L.ボーデン内閣による徴兵制に反対するなど,フランス系カナダ・ナショナリストとしての姿勢は一貫していた。しかし,26年ごろよりアメリカのニューイングランドの英語系とフランス語系のカトリックの対立に同志が介入するようになって以来,フランス系ナショナリズムの行過ぎを批判し,《義務》誌の編集からも退いて晩年は半ば隠退の文筆生活を送った。
執筆者:大原 祐子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報