改訂新版 世界大百科事典 「プトレマイオス2世」の意味・わかりやすい解説
プトレマイオス[2世]
Ptolemaios Ⅱ
生没年:前308-前246
プトレマイオス朝エジプト第2代の王。在位,前285-前246年(うち前283年まで父1世と共同統治)。画期的な経済統制の樹立や派手な文化諸策により,この王朝の最盛期をもたらした。すなわち国内全産業の王家独占を確立(収税法制定。前259)して富を集中するかたわら,強大な傭兵軍を擁して東地中海に勢力を確保し,エチオピアやアラビアにも支配を伸ばした。また富財をアレクサンドリア市の繁栄に投じ,大灯台の築造や学園ムセイオンおよび大図書館の充実に力を注いだ。ナイル・紅海運河再開削やファイユーム地方の大干拓など国土の開発にも努め,また南海貿易は彼の治下にインドにまで達した。資性惰弱な彼は諸事業を,実姉にして妻なるアルシノエ2世に負うところ多かったと思われる。彼女への諡(おくりな)〈フィラデルフォスPhiladelphos〉を彼も賓名としておび(フィラデルフォスとはこの場合〈愛弟〉〈愛姉〉の意),自ら現人神と成ってこの王朝にヘレニズム的な君主崇拝と,以後同家の伝統となる姉弟(兄妹)婚との風を二つながら創始した。
執筆者:金澤 良樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報