改訂新版 世界大百科事典 「プラズマ加工」の意味・わかりやすい解説
プラズマ加工 (プラズマかこう)
plasma beam machining
気体が高温のもとで電離して陽イオンと電子とに分かれた状態をプラズマと呼ぶが,これをノズルから高速で噴出させて材料を溶融し,切断,溶接,溶射などを行うのがプラズマ加工である。ノズル形状をした陽極とタングステン陰極との間でアークを発生させ,生じたプラズマをジェットとしてノズルから噴出させて加工面にあてる方式をプラズマジェット型(プラズマジェット加工)と呼び,動作ガスとしてはアルゴン,ヘリウム,窒素などが用いられる。一方,加工物自体を陽極として陰極との間でアークを発生させ,周囲の気体をプラズマ化してノズルから噴き出させる方式をプラズマアーク型と呼んでいる(図)。切断や溶接にはプラズマアーク型が用いられ,溶射による耐熱,耐摩耗被膜の加工にはプラズマジェット型が用いられる。高融点金属の切断も可能で,アークの集束性がよいために,ガス切断に比べて加工物に対する熱影響が少ないという長所を有する。プラズマアークを安定化させるためにアークの周囲に気体や水を流す。
執筆者:稲崎 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報