陰極（読み）インキョク

デジタル大辞泉

いん‐きょく【陰極】

対となる二つの電極のうち、電位の低いほうの電極。負の電極。負極。マイナス極。⇔陽極。
[類語]電極・陽極・正極・負極

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

いん‐きょく【陰極】

1. 〘 名詞 〙 二つの電極間に電流が流れている場合、電位の低い方の極。負の電極。マイナスの極。⇔陽極。
   1. [初出の実例]「人身は電気の導体にして、男は陽極也。女は陰極(インキョク)也」(出典：造化妙々奇談（1879‐80）〈宮崎柳条〉二編)

陰極の語誌

ロプシャイトの「英華字典」（一八六六‐六九）にある「cathode 陰極 ; the negative pole 陰極」が古い。しかし、同字典を参照した「附音挿図英和字彙」（一八七三）は、その訳語を採用せず、negative pole に蘭学ですでに使われていた「消極」を当てている。その後、洋学書を通じて中国の「陰極」が伝来したことと「消極」が哲学の用語として使用されはじめたことによって、物理用語としては徐々に「陰極」が「消極」に取って代わった。

出典　精選版 日本国語大辞典

百科事典マイペディア

陰極【いんきょく】

負極，カソードとも。日本では電位の高い側を陽極，低い側のものを負極とよんでいる。電気分解，気体放電などでは陽イオン（カチオン）が，電池では外部回路を正電気が，陰極へ向かって流れる。電子管の陰極は熱や光の作用で電子を放出する。→光電管／熱陰極
→関連項目光電子増倍管｜複合管

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

陰極
いんきょく
cathode

カソードとも呼ばれる。電気分解の溶液や放電管では正電荷を集めて電源へ正電荷を送り返す電極，真空管では加熱されて熱電子を放出する電極，電池では外部の負荷から正電荷が戻るほうの電極をいう。陽極と対をなす。電気分解における陰極では，金属の析出，水素の発生などの還元が起る。放電管では，放電を持続させるために陰極から電子を放出し，電離による正イオンを集める。乾電池では亜鉛の筒が陰極である。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

化学辞典 第2版

陰極
インキョク
cathode

【Ⅰ】電池の場合[同義異語]アノード【Ⅱ】電気分解の場合[同義異語]カソード

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

改訂新版　世界大百科事典

陰極 (いんきょく)

→電極

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

陰極
いんきょく

→電極

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の陰極の言及

【電極】より

…電気化学系のアノードでは電極反応が酸化の方向に，カソードでは還元の方向に進行する。1対の電極のうち，電位の高いほう(より正の電位をもつ電極，すなわち正極)を陽極，電位の低いほう(より負の電位をもつ電極，すなわち負極)を陰極とよぶことも多いが，陽極とアノード，陰極とカソードは必ずしも対応するとは限らない。混乱をさけるためには陽極，陰極という語を用いないほうがよい。…

※「陰極」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」