改訂新版 世界大百科事典 「プリアンガン」の意味・わかりやすい解説
プリアンガン
Priangan
インドネシア,西ジャワのバンドンを中心とする高原地帯の通称。14世紀にはパジャジャラン王国の中心地として栄えたが,この王国はマタラム王スルタン・アグンの時代に2度の戦闘(1630,32)に敗れてマタラムの宗主権を認めた。次いでトルノジョヨの反乱(1675-79)後,バンテン王国の勢力下に入り,1684年以後はオランダ東インド会社がこの地域に進出し,地方領主はその支配下に置かれた。1699年にアラビカ種のコーヒーが導入され,住民はそれ以降1916年にいたるまで,コーヒーの強制植付けと強制引渡しとを東インド会社(19世紀以降は植民地政庁)に対して義務づけられた。1830年に始まる強制栽培制度は,このような方式(プリアンガン制度と呼ばれた)をジャワ島の各地に適用したものである。このようにプリアンガン地方は,古くからコーヒーを中心とする熱帯農産物の生産地としてオランダに大きな利益をもたらした。一方,この地方は火山性高原の連なる風光明美の地でもあり,スンダ族の文化的中心でもあった。独立後は,バンドンを中心に熾烈な反オランダ独立戦争の戦場となった。また敬虔なイスラム教徒の多い地域としても知られている。
執筆者:土屋 健治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報