改訂新版 世界大百科事典 「スンダ族」の意味・わかりやすい解説
スンダ族 (スンダぞく)
Sundanese
インドネシア,ジャワ島西部(北岸を除いた東経108°以西)一帯に住む人びと。人口約2000万で,ジャワ族に次ぎインドネシア第2の民族集団を形成している。アウストロネシア語族に属するスンダ語を話し,大部分がイスラム教徒である。ジャワ族のイスラムが土着信仰やヒンドゥー教をまじえた混交的なものであるのに対して,スンダ族のイスラムは,多数を占めるジャワ族との対抗関係もあって,厳格な信仰を守ろうとする傾向が強い。村落は農業を生業とし,灌漑によって水稲耕作を行う。とくにバンドンの西50kmの高原地帯に位置するチアンジュールは良質米の産地として有名である。
西ジャワのうちまだ古い伝統・慣習を残すドゥク村では,村人は村外に職を求めず,村内婚を行い,また敬虔なイスラム教徒である。この村人の禁忌には次のようなものがある。建築用の資材に大きな鋸を使うこと,隣近所より大きな家を建てること,家屋や壁に石灰を塗ること,瓦で屋根を葺くこと,ガラスを用いた戸や窓をもつこと,絵や彫刻などで壁を飾ること,金やダイヤモンドの装飾品を身につけること,などである。スンダ地域は文学が豊かなところで,韻文形式のパントゥンは有名であり,またワワチャンというイスラムにちなんだ物語が吟誦朗読される。影絵芝居ワヤンの人形はスンダ族では木製である。
執筆者:倉田 勇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報