改訂新版 世界大百科事典 「プリヤイ」の意味・わかりやすい解説
プリヤイ
priyayi
元来は領主の末弟たちを意味するジャワ語で,16世紀末からジャワに君臨したマタラム・イスラム王国の国王や地方領主の配下で行政実務を担当した宮廷官吏,貴族階級を意味した。18世紀半ばにマタラムがオランダに制圧されると,オランダ植民地行政に原住民行政官僚として組み込まれた。19世紀末以後,官僚機構の拡充につれ,西洋式教育を通して獲得した専門的知識によって官途についた教師,医師,技師,書記などもプリヤイの範疇に加えられた。このような社会階級としてのプリヤイとは別に,これと密接に結びつく文化類型としてのプリヤイ概念をギアツが構成している。ジャワの重層信仰のうちヒンドゥー・仏教的要素を他の要素よりも強調する宗教意識・世界観がこれであるが,社会階級としてのプリヤイとこの文化類型の選択的親近性について疑義を挟む研究者も多く,プリヤイという語の用法を前者に限定すべきだという意見もみられる。
執筆者:間苧谷 栄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報