プレプロジェクタイルポイント文化(読み)プレプロジェクタイルポイントぶんか

改訂新版 世界大百科事典 の解説

プレ・プロジェクタイル・ポイント文化 (プレプロジェクタイルポイントぶんか)

北アメリカ西部を中心に,南北両アメリカに広く分布する新大陸最古の文化と考えられる石器文化。A.D.クリーガー,R.S.マクニッシュ,I.ラウスらにより強く提唱され,現在の知見に照らし,受け入れる研究者が多い。特徴は大型の石核石器,礫器スクレーパーなどで,石器製作技法のうえからは旧大陸の前期・中期旧石器文化のそれに似ている。獣骨なども共伴しているが,明確な遺構欠如している。年代は4万~3万年前といわれるが,確実に石器と共伴する地層の炭素14法による年代が得られているのは,ペルーのアヤクチョ盆地の諸遺跡など少数の遺跡に限られる。この文化に比定される遺物は南北両アメリカの数十ヵ所から報告され,クロービス文化など樋状剝離痕をもつ尖頭器に特徴づけられるプロジェクタイル・ポイントProjectile Point文化に先行すると考えられることから名付けられた。出土層位の状況,地質学的年代決定の欠如,絶滅動物の欠如,特徴的遺物の欠如などを理由に,この文化の存在を疑問視する研究者もおり,賛否両論論議がつづいている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のプレプロジェクタイルポイント文化の言及

【パレオ・インディアン文化】より

…新大陸で最古の人類文化と解釈されている先史文化の総称。パレオ・インディアンPaleo‐Indian文化は時期的には上部洪積世から沖積世初頭に位置づけられ,石器製作技術や共伴する動物相のちがいにより,プレ・プロジェクタイル・ポイント文化,プロジェクタイル・ポイント文化,パレオ極北文化に大別される。プレ・プロジェクタイル・ポイント文化は粗雑な剝片石器や礫器に特徴づけられ,ペルーのパカイカサ文化,アヤクチョ文化などに代表され,1万4000~1万5000年以前に比定されている。…

※「プレプロジェクタイルポイント文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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