小谷(読み)おだに

精選版 日本国語大辞典 「小谷」の意味・読み・例文・類語

お‐だにを‥【小谷】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 ) 谷。たいして険しくない谷。
    1. [初出の実例]「浅茅原(あさぢはら) 袁陀爾(ヲダニ)を過ぎて 百伝ふ(ぬて)ゆらくも 置目(おきめ)(く)らしも」(出典:古事記(712)下・歌謡)

おたにをたに【小谷】

  1. ( 「おだに」とも ) 姓氏一つ

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日本歴史地名大系 「小谷」の解説

小谷
おたり

[現在地名]小谷村

小谷の名の初見は、新見文書の建久元年(一一九〇)一二月の僧某下文中に「六条院御領信乃国千国御庄内於他里・飯守所」とある中の於他里おたりで、これにより、現北安曇郡白馬はくば村・小谷村一帯千国ちくに庄に属し、そのうち現小谷村域が小谷と称され、その政所が現小谷村大字千国のうちに設けられていたことがわかる。「小谷」の用字は、長享二年(一四八八)七月の春秋之宮造宮之次第に諏訪社下社春宮の造宮の役所として「小谷」とあるのを初見とする。

小谷の「たり」は原始名で、樽に通ずるとされ、断崖状になっている谷の深い地形をさすといわれている。現在では小谷村全域を小谷とよんでいるが、小谷の名の発生は、古代の小谷地方の中心地であったと想定されている現小谷村大字中土の中谷なかつちのなかや川の谷にあった地名が、後にしだいに拡大されていったものと推定される。中世までは、現小谷村大字中土・北小谷・中小谷を小谷といい、現小谷村大字千国を千国といって区別してよんでおり、このことは江戸時代に入っても時に区別してよぶことが残っていたようである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小谷」の意味・わかりやすい解説

小谷(村)
おたり

長野県北西端、北安曇郡(きたあずみぐん)にある村。姫川(ひめかわ)流域にある信越国境の村。姫川の狭長な谷を通るJR大糸線と国道148号に沿い集落が分布し、豪雪地すべりで悩まされる。1996年(平成8)12月には姫川の支流で大規模な土石流が発生、ダム工事の作業員が犠牲になる大災害となった。近世、谷筋を糸魚川(いといがわ)から松本へ通じた千国街道(ちくにかいどう)(塩の道)は最近にわかに脚光を浴び、沿道に残された多くの石仏群や牛方宿(やど)、番所跡、石畳道などには多数の訪問者があり、木曽(きそ)谷と並ぶ観光地になっている。また白馬(しろうま)・乗鞍(のりくら)岳山麓(ろく)には栂池高原(つがいけこうげん)や多くのスキー場が開設されている。小谷温泉、姫川温泉などがある。面積267.91平方キロメートル(一部境界未定)、人口2647(2020)。

[小林寛義]


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改訂新版 世界大百科事典 「小谷」の意味・わかりやすい解説

小谷[村] (おたり)

長野県北安曇(きたあずみ)郡の村。人口3221(2010)。県の北西端に位置し,新潟県に接する。姫川中流の山村で,山林・原野が総面積の95%を占める。豪雪・地すべり地帯のうえ,耕地が少なく昭和30年代から40年代にかけて急速に過疎化が進行した。近年,栂池(つがいけ)高原などにスキー場が多数開設され,観光産業が発展している。南西端に乗鞍岳,小蓮華山などがあり,一帯は中部山岳国立公園に,北東部は上信越国立公園に指定されており,小谷,島,姫川の温泉もあって,夏は登山客やハイカー,冬はスキー客でにぎわう。栂池自然園は高層湿原として知られる。JR大糸線,国道148号線が通じる。
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百科事典マイペディア 「小谷」の意味・わかりやすい解説

小谷[村]【おたり】

長野県北西端に位置する,北安曇郡の村。北半分は新潟県に接し,9割以上を山林が占める。村のほぼ中央を急流で有名な姫川が北流し,川に沿ってJR大糸線と国道148号が通じる。フォッサマグナ沿いの地すべり地帯に相当し,冬季の積雪も非常に多く,南部の栂池(つがいけ)高原や稗田山山麓には大規模なスキー場が立地する。高層湿原として知られる栂池自然園は白馬岳の登山口で,白馬大池を経て山頂への登山路があるほか,北部の小谷温泉は雨飾山の登山基地となっている。267.91km2。3221人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「小谷」の解説

小谷

長野県北安曇郡小谷(おたり)村にある道の駅。国道148号に沿う。

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