鎖着籠(くさりきごめ)ともいう。室町末期の発生と推測される防具の一種で、出行の際や陣中において非常に備えて衣中に着用し、あるいは戦闘時に甲冑(かっちゅう)の下に着籠め、ときには甲冑の上に着用して防護力を強化した。『室町殿日記』『奥羽永慶(えいけい)軍記』『義光物語』などの記事にみえる。また、島原の乱に出陣した熊本藩主細川忠利(ただとし)の正月24日付(寛永15)書状に「一たゝみ具足、又くさりかたびらは数可有之候」とあり、当時盛んに着用されたことをうかがわせる。
一般的形状は、筒袖(つつそで)の胴衣で、紺麻や浅葱(あさぎ)麻などに厚地の麻芯(しん)(中籠(なかごめ))を入れ、これに鎖を綴(と)じ付けたものである。筏金(いかだがね)を併用することがあり、また鎖や亀甲金(きっこうがね)を綴じ付けた芯地の表裏を布帛(ふはく)で縫い包んだものもある。なお、鎖帷子に類似した用途のものに下満智羅(したまんちら)がある。布帛に鎖や亀甲金を縫い込んだもので、甲冑の下に着籠めて、襟回(えりまわり)、肩当(かたあて)、小鰭(こひれ)、脇当(わきあて)をも兼用した。
[山岸素夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これに対応して,楯は円形ないし楕円形から半円筒形に近い,反りのついた長方形に変わり,また脛当が廃止された。ローマ時代における大きな進歩は,一方では鎖帷子(くさりかたびら),他方では小札鎧の登場である。前者はケルト起源,後者はイベリア起源と言われている。…
※「鎖帷子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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