鎖帷子(読み)クサリカタビラ

デジタル大辞泉 「鎖帷子」の意味・読み・例文・類語

くさり‐かたびら【鎖帷子】

筒袖帷子に鎖をとじつけた防御具。よろい衣服の下に着込むので着込きごみともいう。くさり。

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精選版 日本国語大辞典 「鎖帷子」の意味・読み・例文・類語

くさり‐かたびら【鎖帷子】

  1. 鎖帷子
    鎖帷子
  2. 〘 名詞 〙 防御用の下着布帛(ふはく)の帷子を家地(いえじ)とし、上に八重鎖または南蛮鎖をとりつけたもの。衣服の下につけるために着込(きごみ)ともいう。くさりきこみ。くさりこそで。くさりじゅばん。くさり。
    1. [初出の実例]「くさりかたびらをき、いそぎいでんとするを」(出典:わらんべ草(1660)五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎖帷子」の意味・わかりやすい解説

鎖帷子
くさりかたびら

鎖着籠(くさりきごめ)ともいう。室町末期の発生と推測される防具の一種で、出行の際や陣中において非常に備えて衣中に着用し、あるいは戦闘時に甲冑(かっちゅう)の下に着籠め、ときには甲冑の上に着用して防護力を強化した。『室町殿日記』『奥羽永慶(えいけい)軍記』『義光物語』などの記事にみえる。また、島原の乱に出陣した熊本藩主細川忠利(ただとし)の正月24日付(寛永15)書状に「一たゝみ具足、又くさりかたびらは数可有之候」とあり、当時盛んに着用されたことをうかがわせる。

 一般的形状は、筒袖(つつそで)の胴衣で、紺麻や浅葱(あさぎ)麻などに厚地の麻芯(しん)(中籠(なかごめ))を入れ、これに鎖を綴(と)じ付けたものである。筏金(いかだがね)を併用することがあり、また鎖や亀甲金(きっこうがね)を綴じ付けた芯地の表裏を布帛(ふはく)で縫い包んだものもある。なお、鎖帷子に類似した用途のものに下満智羅(したまんちら)がある。布帛に鎖や亀甲金を縫い込んだもので、甲冑の下に着籠めて、襟回(えりまわり)、肩当(かたあて)、小鰭(こひれ)、脇当(わきあて)をも兼用した。

[山岸素夫]

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百科事典マイペディア 「鎖帷子」の意味・わかりやすい解説

鎖帷子【くさりかたびら】

鎖襦袢(じゅばん),鎖着込みなどとも。細かい鎖をつづり合わせて,短衣にとじつけた護身用の衣。鎖の組み方によって一重鎖,二重鎖,総鎖,南蛮鎖などの名称がある。日本では中世から用いられ,《太平記》にも記述がある。中国では唐代,ヨーロッパでは14世紀ころから盛んに用いられた。
→関連項目網襦袢甲冑

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鎖帷子」の意味・わかりやすい解説

鎖帷子
くさりかたびら
mail

細かい鎖を平らに編んでつくった着物。帷子に似た略式の防具。鎧の下や衣服の下に着込んで用いた。一重鎖,二重鎖,総鎖,南蛮鎖などの種類があり,日本では室町時代から使われていた。西洋では 12~13世紀に主要な防具として衣服の下に着用したが,矢や槍の攻撃に不備であり,火器に対し無力であるため,鉄製の甲に取って代わられた。

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世界大百科事典(旧版)内の鎖帷子の言及

【甲冑】より

…これに対応して,楯は円形ないし楕円形から半円筒形に近い,反りのついた長方形に変わり,また脛当が廃止された。ローマ時代における大きな進歩は,一方では鎖帷子(くさりかたびら),他方では小札鎧の登場である。前者はケルト起源,後者はイベリア起源と言われている。…

※「鎖帷子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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