ヘーズ=ティルデン妥協(読み)ヘーズ=ティルデンだきょう(その他表記)Hayes-Tilden Compromise

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘーズ=ティルデン妥協」の意味・わかりやすい解説

ヘーズ=ティルデン妥協
ヘーズ=ティルデンだきょう
Hayes-Tilden Compromise

1876年のアメリカ大統領選挙の結果をめぐって共和党民主党との間ではかられた取引をいう。この年の選挙で共和党は R.ヘーズ,民主党は S.ティルデンを大統領候補として争った。最初の開票報告ではティルデンが当選したかにみえたがサウスカロライナ,フロリダ,ルイジアナ,オレゴンの4州の開票結果に疑いが出た。この4州からは相反する2通りの開票報告が届いており,もし民主党がこの4州を失うとヘーズ候補の獲得選挙人がティルデン候補を1票差で上回るという事態になっていた。南部3州では共和党主導の選挙委員会が数千票の民主党票を無効にしたことが明らかとなり,連邦上下両院と最高裁判所から選ばれた調査団がこの3州に送られた。そこで南部民主党と共和党の間に取引が行われ,ヘーズの当選を承認する代償として,共和党は駐屯連邦軍の撤退と,解放黒人に公民権を保障した憲法修正第 15条の不履行を黙認するという妥協が成立し,ヘーズの当選が確定した。この選挙では,問題となった4州の票を共和党のものとして算定しても,一般投票ではティルデン候補がヘーズ候補をなお 25万票も上回っていた。

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