改訂新版 世界大百科事典 「ベックラー」の意味・わかりやすい解説
ベックラー
Hans Böckler
生没年:1875-1951
ドイツの労働運動家,政治家。フェルト近郊に御者の息子として生まれた。金銀箔職工となり,1894年ころドイツ金属労働者組合(DMV),社会民主党(SPD)に加入した。メーデーに加わったために職を失い,第1次大戦までは組合活動家として不安定な生活を送る。大戦中東部戦線で従軍し,負傷して除隊すると組合活動に復帰,一時,中央労働共同体の書記を務める。1924-28年,ケルン市議会議員となり,28年以来帝国議会議員に選出されたが,33年には2度逮捕され,以来地下に潜伏する。第2次大戦後,労働組合運動の再建に努め,49年DGB(ドイツ労働総同盟)の初代議長に選ばれ,また国際自由労連の副議長も務めた。穏健な労働組合主義の路線を堅持し,とくに共同決定法の確立に尽力したのは有名。
執筆者:徳永 重良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報