改訂新版 世界大百科事典 「ベルセルク」の意味・わかりやすい解説
ベルセルク
berserkr
北欧の神話・伝承上の戦士。急戦に際して狂暴になり,ふだんに倍する強さと猛烈さを発揮し,通例その後虚脱状態に陥る。ウールブヘジンúlfheðinnと並んで記され,また同義とされる。ベルセルクは熊björnのシャツserkrを,ウールブヘジンは狼úlfrのジャケットheðinnを着けた男の意。それによって動物の力を得られるとも考えられている。13世紀の史家スノッリ・ストゥルルソンは,ハーラル1世美髪王の親衛兵の一部はベルセルクで,武器をもってしてもこれを傷つけられないと述べている。他方,北欧では豪族,農民が戦士となり,西欧の騎士のような戦士身分が成立しなかったので,戦闘のみをこととする者は異常者とみられる。のちベルセルクが単なる無法者,乱暴者を指すこともあるのはこのためである。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報