ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペラギウス説」の意味・わかりやすい解説 ペラギウス説ペラギウスせつPelagianism ペラギウスとその弟子たちが唱えた5世紀の神学説。マニ教の決定論に反対し,人間の本性は基本的に善であり,人間の意志は自由であり,したがって責任のあることを強調。その教説のうち異端とされた論点は,(1) 人間は独力で,助力の恩恵なしによい行為をなし,救済をかちうるとし,贖罪は恩恵ではなくキリストの道徳的教えによるとしたこと,(2) 原罪を否定し,アダムの罪が子孫に伝わることを認めず,幼児洗礼の必要を否認したことなどである。ペラギウス説は,人間は独力では救われず,神の恩恵にまったく依存するとしたアウグスチヌスによって反駁され,416年と 418年のカルタゴ司教会議で断罪,ペラギウスらは破門された。これを修正した半ペラギウス説は 529年オランジュ会議で断罪されるまで南ガリアで栄えた。近世の恩恵論争でも同様の立場が生れ,ペラギウス説はカルバン説の対極に位置づけられる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by