化学辞典 第2版 「ペンタオキソ二硫酸塩」の解説
ペンタオキソ二硫酸塩
ペンタオキソニリュウサンエン
pentaoxodisulfate(S-S)(2-)
MⅠ2S2O5.図のような構造の陰イオンをもち,通称,二亜硫酸塩(disulfite),メタ(二)亜硫酸塩(metabisulfite),ピロ亜硫酸塩(pyrosulfite)といわれる.実用性のある塩で,K2S2O5(222.33),Na2S2O5(190.11)などが工業的に生産されている.アルカリ金属塩は,各金属の炭酸塩の水溶液に,NH4塩は濃アンモニア水に,SO2を通して反応させた後,乾燥剤で乾燥濃縮析出させる.Na,K,NH4塩は,いずれも無色の結晶~白色の粉末で,一般の製品はわずかにSO2臭がする.S-S2.17 Å,S-O1.45 Å(SO3側),1.50 Å(SO2側).室温でも空気中ではしだいに酸化,分解される.密閉中でもNa,NH4塩は約150 ℃,K塩は約190 ℃ で分解する.いずれも水に易溶.水溶液中では,
S2O52- + H2O 2HSO3-
の平衡があり,しだいにSO2を失って壊れていく.酸ではSO2を発生する.還元性が強い.アルカリ金属塩は還元剤や防腐剤に用いられる.たとえば,K塩はブドウ酒やビールの醸造時に,また野菜や果物の防腐など食品保存に利用される.そのほか,写真処理薬剤や,麦ワラ漂白などにも利用されることがある.[CAS 16731-55-8:K塩][CAS 7681-57-4:Na塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報