ホソエンマムシ(その他表記)Niponius impressicollis

改訂新版 世界大百科事典 「ホソエンマムシ」の意味・わかりやすい解説

ホソエンマムシ
Niponius impressicollis

甲虫目ホソエンマムシ科の昆虫。衰弱した木や枯木に穿孔(せんこう)するキクイムシ類の天敵として知られる。体は黒色円筒形で触角跗節(ふせつ)は赤褐色。前頭には前方へ突出する1対の角状の突起がある。胸の背面には1対のくぼみがあり,腹部の後方2節が上翅から裸出する。裸出した2節にはそれぞれ4個と2個のへこみがある。体長約5mm。北海道から九州までのほか,台湾にも分布する。成虫は5月ころから出現し,キクイムシ類などの孔道に潜りこみ,キクイムシ類を捕食する。幼虫は細長く,各体節の背面は瘤状に隆起して孔道内での移動を助ける。胸脚は小さい。初夏のころ孔道内で蛹化(ようか)する。ホソエンマムシ科NiponiidaeはNiponius属のみからなり,オーストラリア,インド,サハリンなどに分布する。日本からはホソエンマムシのほか,ヒメホソエンマムシN.osorioceps,ツノブトホソエンマムシN.obtusicepsなど5種が記録されている。科と属の学名はこの虫が日本で最初に発見されたことに由来する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 長閑

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android