日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボウズカクレウオ」の意味・わかりやすい解説
ボウズカクレウオ
ぼうずかくれうお / 坊主隠魚
pinhead pearlfish
small-finned messmate-fish
[学] Encheliophis boraborensis
硬骨魚綱アシロ目カクレウオ科に属する海水魚。八重山(やえやま)列島以南、太平洋、インド洋の熱帯域に広く分布する。体はウナギ状に延長し、尾端は鋭くとがる。肛門(こうもん)は胸びれの基部下方より前に開く。鱗(うろこ)や腹びれがない。臀(しり)びれは胸びれの基部下方から、背びれは臀びれの始部より著しく後方から始まる。両ひれは尾びれに連続する。臀びれは背びれより高い。胸びれはきわめて短く、頭長の3分の1よりも短い。体は茶褐色。全長30センチメートルほどになる大形種。サンゴ礁の浅海域の砂礫底(されきてい)にすむ。ジャノメナマコ、シカクナマコ、バイカナマコなどを宿主として腸内に隠れてすむが、大形種のバイカナマコを好む。宿主から出てエビ類、魚類などを食べる。成魚や幼魚など複数個体が同一個体の宿主を利用することが知られている。カクレウオ科には日本の沿岸から6属13種ほど報告されている。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]