ポルタニグラ(読み)ポルタニグラ(その他表記)Porta Nigra

デジタル大辞泉 「ポルタニグラ」の意味・読み・例文・類語

ポルタ‐ニグラ(Porta Nigra)

《黒い門の意》ドイツ西部、ラインラント‐プファルツ州の歴史都市、トリーアにあるローマ時代の遺跡。2世紀末に建造された城門。1986年、「トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂聖母マリア教会」として世界遺産文化遺産)に登録された。

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世界の観光地名がわかる事典 「ポルタニグラ」の解説

ポルタニグラ【ポルタニグラ】
Porta Nigra

ドイツ西部のラインラントファルツ州にあるモーゼル川畔の都市トリーア(Trier)旧市街北側に位置する、古代ローマ時代の建築物の遺構。トリーアはローマの軍団の駐屯地・兵站(へいたん)地を起源とする町で、3~4世紀にはローマ帝国有数の大都市に発展し、四分治制(テトラルキア)移行は4つの首都のうちの一つとなった。こうしたことから、ローマ時代の遺跡が数多く残っている。◇ポルタニグラもその一つで、西暦180年にローマ市壁の北門として建造された城門である。「ポルタニグラ」は「黒い門」という意味だが、黒みを帯びた砂岩を、モルタルを使用せずに交互に積み重ねて鎹(かすがい)で固定した、高さ30m、幅36m、奥行き22mの構造物で、144のアーチ型の窓が設けられている。1035年にこのローマの城門を覆うかたちで聖シメオン教会が建設されたが、1805年にトリーアを占領したナポレオンがローマ時代以外の建造物の撤去を命じたことにより、元の姿に戻された。世界遺産「ローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母マリア教会」の一部である。

出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のポルタニグラの言及

【トリール】より

…高さ30mを超える巨大な煉瓦造建築で,これは内部には温風暖房装置の跡があり,当時の技術の高さを示す。やはりローマ時代の城門ポルタ・ニグラPorta Nigra(黒門)は,トリールの地がもっていた戦略的重要さを語るもので,中世にはこの中にキリスト教の礼拝堂が営まれた。キリスト教の大司教区としての発展を語る遺品は多く,大聖堂は11世紀に大司教ポッポPoppoのもとで旧来の教会堂を核として改めて造営され,12世紀後半,リブ・ボールトをもつ初期ゴシック様式で完成された(バロック期の付加物あり)。…

※「ポルタニグラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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