翻訳|mortar
ふつうはセメントと砂を適量ずつ混ぜ,水を加えて練り上げたもの,すなわちセメントモルタルのことをいう。防水性,施工性,付着性など,ある種の性質を向上させる目的で少量の混和剤を加えることもある。通常は容積比で調合を表現することにしており,セメント1に対して砂が2のときに1:2モルタルと呼ぶ。砂はセメント1に対して1.5~3程度がふつうである。一般に水はこてで塗り施工できる程度の軟らかさまで加える。砂の割合が多いほど強度は小さくなるが,ひび割れは少なくなる。モルタルの施工は鉄筋コンクリート造ではコンクリートの床面や壁面を直接下地として,また木造の場合は壁にメタルラス,木毛セメント板,ラスシートなどを張って下地として塗りつける。塗り方は下塗り,中塗り,上塗りと3回に分けることもあるが,下地の精度がよいときは中塗りを省略する。また,とくに下地が平滑なときは1回で仕上げることもできる。モルタル仕上面は金ごてで平滑に仕上げて,そのままとするか,またはその上に壁の場合は塗料を塗ったり壁装材料をはることもあるし,水ばけでなぞってやや粗く仕上げてそのままにするか,またはその上に吹付材料を施工することもある。床の場合は,金ごて仕上げのままとするか,タイル,じゅうたんなどの仕上げの下地として用いる。木造の外壁をモルタルで仕上げて防火構造とするときは2cm以上塗らなければならない(建築基準法施行令)。モルタルを作るときのセメントは普通ポルトランドセメントであるが,これだとモルタルの色は灰色(セメント色)になる。普通ポルトランドセメントの代りに白色セメントを用いると,白いモルタルとなり,これに顔料を加えると色モルタル(着色モルタル)ができる。色モルタルは化粧仕上用として用いられる。広義のモルタルとしては,セメントの代りに石灰を使用した石灰モルタル,アスファルトを使用したアスファルトモルタルなどがある。
執筆者:上村 克郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
建築材料の一つ。セメントと砂と水を練り混ぜたものをセメントモルタルまたは単にモルタルというが、ほかに細粒骨材を石灰、アスファルト、あるいは合成樹脂などの結合材(あるいは固着材)に混ぜて硬化させたものをモルタルと称し、それぞれ石灰モルタル、アスファルトモルタル、樹脂モルタルという。コンクリート面の下地塗りあるいは仕上げ塗りとして用いられるほか、れんがやコンクリートブロックの目地、防水モルタルなどとして用いられる。また木造の建物に金網(メタルラス)を張り、モルタルを塗って防火壁を構成する。この壁をラスモルタル塗りという。
モルタルの仕上げ法には、木ごて仕上げ(この上にタイルなどを張る場合)、金ごて仕上げ(金ごてで平滑に仕上げ、そのままあるいはペンキ塗りなどをする)、刷毛(はけ)引き仕上げ(硬化しないうちに表面を刷毛で刷き、粗い表面とする)、洗い出し、および研(と)ぎ出し仕上げ(色種石を骨材とし、カラーセメントを用いたモルタルを上塗りし、硬化しないうちに水をつけた刷毛で表面を洗って種石を見えるようにした仕上げを洗い出し仕上げという。硬化後砥石(といし)で平滑に研ぎ出し磨いたものを研ぎ出し、またはテラゾーという)、かき落とし仕上げ(硬化しないうちにかき落として模様をつける仕上げ)などがある。このほか、セメントと砂を空(から)練りし、筒先で水を加え、ノズルから圧縮空気とともに吹き出して施工する吹き付けモルタルなどもある。カラーセメントと色砂を用いたモルタルをカラーモルタルという。カラーセメントのかわりに合成樹脂を用いた樹脂モルタルもある。いずれもこてで塗って仕上げに用いる。
[笠井芳夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
水硬性のセメントに水および細骨材(砂)を練りまぜたもの,あるいはこれが硬化したものをいう.モルタルに粗骨材(砂利)を配合したものがコンクリートである.コンクリートと同様に,用途に応じて種々の混和剤が混入される場合もある.左官工事に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報
…しかし単にコンクリートという場合には,セメントを結合材とし,これに骨材および水を適当な割合で配合して練り混ぜ,水とセメントとの水和作用によって固まらせるセメントコンクリートcement concreteを指すのが普通で,以下でもセメントコンクリートについて述べる。なお,セメント,砂および水から構成されるものはモルタル,セメントと水だけを練り混ぜたものはセメントペーストと呼ばれる。 広い意味でのコンクリートの利用は非常に古く,すでに前3世紀の古代ローマ時代には石灰を結合材としたコンクリートをおもに石積みや煉瓦積みの芯材として使っていた。…
※「モルタル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加