モルタル(読み)もるたる(英語表記)mortar

翻訳|mortar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルタル」の意味・わかりやすい解説

モルタル
もるたる
mortar

建築材料の一つ。セメントと砂と水を練り混ぜたものをセメントモルタルまたは単にモルタルというが、ほかに細粒骨材を石灰アスファルト、あるいは合成樹脂などの結合材(あるいは固着材)に混ぜて硬化させたものをモルタルと称し、それぞれ石灰モルタル、アスファルトモルタル、樹脂モルタルという。コンクリート面の下地塗りあるいは仕上げ塗りとして用いられるほか、れんがやコンクリートブロックの目地、防水モルタルなどとして用いられる。また木造の建物に金網メタルラス)を張り、モルタルを塗って防火壁を構成する。この壁をラスモルタル塗りという。

 モルタルの仕上げ法には、木ごて仕上げ(この上にタイルなどを張る場合)、金ごて仕上げ(金ごてで平滑に仕上げ、そのままあるいはペンキ塗りなどをする)、刷毛(はけ)引き仕上げ(硬化しないうちに表面を刷毛で刷き、粗い表面とする)、洗い出し、および研(と)ぎ出し仕上げ(色種石を骨材とし、カラーセメントを用いたモルタルを上塗りし、硬化しないうちに水をつけた刷毛で表面を洗って種石を見えるようにした仕上げを洗い出し仕上げという。硬化後砥石(といし)で平滑に研ぎ出し磨いたものを研ぎ出し、またはテラゾーという)、かき落とし仕上げ(硬化しないうちにかき落として模様をつける仕上げ)などがある。このほか、セメントと砂を空(から)練りし、筒先で水を加え、ノズルから圧縮空気とともに吹き出して施工する吹き付けモルタルなどもある。カラーセメントと色砂を用いたモルタルをカラーモルタルという。カラーセメントのかわりに合成樹脂を用いた樹脂モルタルもある。いずれもこてで塗って仕上げに用いる。

[笠井芳夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モルタル」の意味・わかりやすい解説

モルタル
mortar

細粒の骨材を結合材に混ぜてつくったもので,一般には砂とセメントを水で練ったセメントモルタルをいう。セメントはポルトランド,高炉,シリカ,白色ポルトランドの各セメントが普通で,砂は川砂,色砂,軽砂が使用される。調合は容積比でセメント1に対し砂2~3。普通モルタルのほか,保温,保冷,吸音にすぐれた蛭 (ひる) 石モルタルをはじめ,パーライトモルタル,人造石用モルタル,また防食層としての耐食モルタルなどがある。防火木造の外壁仕上げ,浴室台所,土間などの床,腰壁の仕上げ,コンクリート屋根の防水仕上げ,組積式構造の目地材料に用いられるほか,モルタル板,モルタル煉瓦,セメント瓦などの成形原料としても用いられる。

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