日本大百科全書(ニッポニカ) 「かすがい」の意味・わかりやすい解説
かすがい
かすがい / 鎹
clamp
cramp
丸鋼、角形鋼、平鋼などの鉄棒の両端を折り曲げ、先端を爪(つめ)状にとがらせた建築金物で、二つの部材をつなぎ合わせるために金槌(かなづち)などで打ち込む。丸かすがい、角かすがい、平かすがいの名称がある。折り曲げた部分を爪、中央部を渡りといい、木材や石材を相互に緊結させるために用いる。建具や家具に使用する長さ3センチメートル程度のものから、建物の軸組を緊結する長さ18センチメートル程度のものまで各種あり、さらに、先端の爪が互いに直角になるような手違いかすがい、一方を短冊状にしてこれに釘(くぎ)穴をつけた目かすがいがある。前者は桁(けた)と垂木(たるき)に、後者は縁甲板と根太(ねだ)の取り付けなどに用いる。また両爪の長いものは輪かすがいといわれ、形状、名称など使用場所によっても異なる。古くは加須可比とも書き、建具などをつなぎ止めるために用いられた金物で、掛金、繋金(かきがね)を意味した。「子は(夫妻の)かすがい」なども、つなぎ止める意味からのことばといえる。
[坂田種男]