改訂新版 世界大百科事典 「マカパンスガット」の意味・わかりやすい解説
マカパンスガット
Makapansgat
南アフリカの石灰岩洞窟遺跡。石灰岩の山に形成された巨大な洞窟群が山麓に露出し,その中に厚い堆積層がある。1947年以来,アウストラロピテクス・アフリカヌス化石が数十点ほど発見されている。年代は生物相の比較から300万~260万年前と推定されている。かつてダートR.A.Dartは,ここで人類が火を使った形跡があると判断し,1947年に発見された化石をギリシャ神話のプロメテウスになぞらえ,アウストラロピテクス・プロメテウスAustralopithecus prometheusと呼んだ。その後,プロメテウスはアフリカヌスと同じとされ,火の使用も疑問視されている。また,ダートは洞窟で発見される動物化石はアウストラロピテクスの獲物であるとし,石器使用の前に動物の骨・歯・角を使用する〈骨歯角文化osteodontokeratic culture〉があったと提唱した。現在では,動物化石はヒョウやハイエナなど捕食者の獲物であったとみなされ,骨歯角文化の存在は否定されている。
→アウストラロピテクス・アフリカヌス →猿人
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報