改訂新版 世界大百科事典 「マトニア」の意味・わかりやすい解説
マトニア
Matonia
日本には生育していないシダ植物で,マレー半島,ボルネオ,ニューギニアに2属2種が知られている。ウラジロ科に似ているところがあるが,根茎の内部構造が複雑で,葉は叉(さ)状分岐をくり返し,胞子囊群には包膜があるなどの点で異なっている。現生種の分布域は限られているが,化石では中生代の初期以来,北極近辺までの広い範囲で発見されており,ウラジロ科と共存しながら並行的に進化してきたことがうかがわれる。マレー半島のM.pectinata R.Br.は1000mより高い稜線で,少し日が射し込むほどの林下のやせ地に群生しているが,生育している場所は限られたところだけである。葉柄は2mを超えることもあり,先端で引き続き何回か分岐してクジャクシダのような構成で,羽片が50cmにも達するような葉をつくる。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報