改訂新版 世界大百科事典 「マルハシ」の意味・わかりやすい解説
マルハシ (丸嘴)
scimitar babbler
スズメ目ヒタキ科チメドリ亜科マルハシ属Pomatorhinusおよび近縁属の鳥の総称。約15種が南アジア,ニューギニア,オーストラリアに分布する。全長15~25cm,どの種も全体に褐色系のじみな羽色をしており,黒色や灰色の斑紋がある。くちばしはかなり長く,下に湾曲している。脚も比較的長くてがんじょうである。低木林,林縁,竹やぶなどにすみ,地上や茂みの中を移動しながら昆虫をとって食べる。さえずりはあまりよく発達していないらしい。球状の巣を地表付近に枯れた茎や葉を用いてつくる。なかには,高木の枝上から長さ180cm,直径30cmもある巣をつるすものもいる。繁殖期以外には,数羽の群れでいることが多く,夜,寝るときにも,体を寄せ合って枝にとまる。ヒメマルハシPomatorhinus ruficollisはヒマラヤから中国南部,台湾まで分布し,林縁や低木林でごくふつうに見られる。ハシナガマルハシP.hypoleucosはアッサム,東南アジア北部,海南島に分布する。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報