改訂新版 世界大百科事典 「ミシシッピバレー型鉱床」の意味・わかりやすい解説
ミシシッピ・バレー型鉱床 (ミシシッピバレーがたこうしょう)
Mississippi Valley-type deposit
石灰岩,ドロストーンなどの炭酸塩岩中に存在する低温熱水性交代鉱床。普通3~10%の鉛・亜鉛を含み,ときに蛍石や重晶石も採掘の対象となる。アメリカのミシシッピ川流域に多くの鉱床が発見されているのでこの名がある。ほかに,カナダ,アイルランド,ヨーロッパのアルプス地域,アフリカ北部などに産出するが日本では産出例がない。石油や蒸発岩を含む厚い堆積盆の周辺に分布することが多く,鉱床生成に関係するような火成活動は一般に認められない。比較的低温(90~160℃)で塩濃度の高い熱水溶液により炭酸塩岩が交代されて生成したもので,熱水の起源は堆積岩中の層間水(化石海水)とされている。鉛・亜鉛の供給源として最も重要な鉱床型式で,世界の鉛・亜鉛の生産量および埋蔵鉱量のほぼ1/3を占めている。アルプス地域に産するものをアルパイン型鉱床と呼ぶこともある。
執筆者:佐藤 壮郎
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