交代作用により生成した鉱床。スカルン型鉱床がその典型的な例である。層準規制鉱床としてまとめられている塊状硫化物鉱床、層状含銅硫化鉄鉱床(キースラーガー型鉱床)、含銅砂岩(コンゴ民主共和国とザンビアの国境沿い付近に延びる銅帯に分布)、含金礫(れき)岩(南アフリカのウィトワーテルスランド地方に分布)などは交代鉱床の例とされていたが、現在では周囲の地層と同じ時期に生成した同生鉱床と考えられている。層準規制鉱床であるミシシッピ渓谷型鉛・亜鉛鉱床は、その成因に関し現在も交代鉱床か同生鉱床かで議論が行われている。
[正路徹也]
鉱化流体が既存の岩石と反応し,有用な鉱物を含む鉱物の集合体でその岩石をほぼ完全におきかえることにより生成した鉱床。このような地質現象は交代作用と呼ばれ,交代鉱床はその代表的な産物である。おきかえられる岩石には,石灰岩,ドロストーン,ケイ質岩などのように,鉱化流体と化学的に反応しやすい岩石,あるいは鉱化流体により溶解されやすい岩石などさまざまなものがある。鉱床の形態は,交代される岩石の種類や鉱化流体が流動する割れ目の分布などにより,筒状や不規則塊状になることもあるが,交代される岩石が地層の一部として層状をなす場合には鉱床も見かけ上は層状となることがある。規模は堆積鉱床などに比較すると小規模なものが多い。これは交代作用という地質現象が,堆積作用などにくらべると一般に規模の小さな現象であることと関連している。ミシシッピ・バレー型鉛・亜鉛鉱床や接触交代鉱床は石灰岩などを交代して生じた典型的な交代鉱床であり,資源として重要であるほか,交代作用の研究に好例を提供している。日本ではかつて黒鉱鉱床やキースラーガー,また層状マンガン鉱床などは交代鉱床と考えられたことがあったが,研究の進展により現在これらはいずれも堆積鉱床であると考えられるに至っている。
執筆者:島崎 英彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鉱床形成の作用による分類の一つ.岩石の割れ目に熱水溶液が通過する際に周囲の反応しやすい岩石などと置換,交代作用し,鉱床が母岩の形状に従って不規則な形でできたもの.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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