日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズナギドリ目」の意味・わかりやすい解説
ミズナギドリ目
みずなぎどりもく
鳥綱の1目。この目Procellariiformesは真に外洋性の海鳥類よりなり、アホウドリ科Diomedeidae、ミズナギドリ科Procellariidae、ウミツバメ科Hydrobatidae、モグリウミツバメ科Pelecanoididaeの4科に分類される。
これらの諸科の著しい特徴は管状の外鼻孔で、このため管鼻目Tubinaresの名もある。ミズナギドリ目4科のうちで、とくに注目すべきはモグリウミツバメ科である。この科はわずか1属4種の潜水に適応した鳥よりなり、亜南極圏を中心に南半球の寒流域に分布している。外形態は、チドリ目に属する北半球のウミスズメ科にきわめてよく似ていて、生活様式や採食方法もウミスズメ科に近い。しかしモグリウミツバメ科は、他のミズナギドリ目の鳥と同様に管鼻をもち、その他の骨格や解剖学的特徴もあわせて考えると、ミズナギドリ目に属するのは明らかで、ウミスズメ科との類似は南北に分かれた海域で平行進化した結果である。モグリウミツバメ科は、ミズナギドリ目のなかでも、ミズナギドリ科のミズナギドリ類が潜水生活のため特殊化したものであろう。一方、ウミツバメ科は、ミズナギドリ科のシロハラミズナギドリ類に縁が近いが、プランクトン採食者として特殊化している。アホウドリ科は、ハクチョウやコンドルと並んで、飛ぶ鳥としては最大限の大きさに達したと考えられている。モグリウミツバメ科以外の他の3科は世界的に分布するが、ミズナギドリ目が南半球で進化を遂げたのは疑いない。
[森岡弘之]