化学辞典 第2版 「ミュオニウムの化学」の解説
ミュオニウムの化学
ミュオニウムノカガク
muonium chemistry
ミュオニウムMuの関与する化学.ミューオン μ+ の質量は陽子のほぼ1/9なので,質量をほとんど0とみなして,ミュオニウム 10H と表現することもできる.すなわち,Muは水素原子の同位体である.化学反応の立場からみると,MuとHの反応の反応速度を比較することで,化学反応におけるトンネル効果の役割を議論できる.事実,少なくとも水素原子の関与する化学反応では,室温でもトンネル効果が主役を演じていることが証明されている.この種の研究は,μ+ をつくり出すことのできる加速器を備えた研究所(たとえば,SIN:swiss institute for nuclear research,TRIUMF:tri-university meson facility,Vancouverなど)において盛んに行われている.[別用語参照]μSR
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報