日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミユビナマケモノ」の意味・わかりやすい解説
ミユビナマケモノ
みゆびなまけもの
three-toed sloth
哺乳(ほにゅう)綱貧歯目ナマケモノ科ミユビナマケモノ属に含まれる動物の総称。また、かつてはこの属のノドジロミユビナマケモノをミユビナマケモノあるいはミツユビナマケモノと称した。ミユビナマケモノ属Bradypusには3種が知られ、体長41~70センチメートル、尾長2~9センチメートル、体重4~4.5キログラム。前・後肢ともに第2・第3・第4指があり、いずれも大きな鉤(かぎ)づめを有する。頸椎(けいつい)は9個あり、哺乳動物のなかでは異例のものの一つである。ノドジロナマケモノB. tridaclylusはブラジルに、ノドチャミユビナマケモノB. variegatusはブラジル、アルゼンチン、ボリビアに、タテガミナマケモノB. torquatusはブラジル南部にそれぞれ分布する。単独でおもに夜間に活動するが、動きは鈍く、1日の移動距離が38メートルであったという記録がある。クワ科の植物セクロピアを主食とする。妊娠期間120~180日、1産1子で、子は6~9か月は雌親の腹や背に捕まって移動する。ヘビと猛禽(もうきん)類、とくにオウギワシが天敵として知られている。
[齋藤 勝]