ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミール・ダーマード」の意味・わかりやすい解説
ミール・ダーマード
Mīr Dāmād
[没]1631. ナジャフ郊外
イランのイスラム教十二イマーム・シーア派の神学者,哲学者。イスラム哲学史では,彼をアリストテレス,ファーラービーに続く「第3の師」 al-mu`allim al-thālithと呼んでいる。ミール・ダーマードはスフラワルディーの照明哲学に基づき,イブン・シーナーの思想を解釈する。トゥーシーがイブン・シーナーの思想から導出した存在の本源性 aṣālat al-wujūdの説に対して,本質の本源性 aṣālat al-māhīyahの説を立てた。彼は近世イランにおいて,イスラム哲学のさまざまな思想的遺産が総合され熟成していく過程の嚆矢といえる人物である。ムッラー・サドラーはこの人の弟子である。主著『炭火の書』 Kitāb al-qabasāt。
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