ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムッラー・サドラー」の意味・わかりやすい解説
ムッラー・サドラー
Mullā Ṣadrā
[没]1640. バスラ
中世後期のイスラム教シーア派の哲学者。中世初期からの,宗教と哲学を調和させようとするイスラム思想家の試みを受け継ぎ,イブン・シーナーの哲学的伝統とスフラワルディーの神秘主義などを結合し,精密な体系を発展させた。なお彼は現実を精神界,想像界,物質界に分け,宗教体験における象徴に本質的にかかわる「想像界」を重視したが,この説はイスラム思想のその後の発展に大きな影響を及ぼした。主著『四つの旅』Kitāb asfār al-arba`ah。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報