家庭医学館 「メイズ法」の解説
めいずほう【メイズ法】
メイズ(MAZE)とは迷路を表わす英語で、不整脈の原因となっている心房を迷路のように切開し、再縫合(さいほうごう)することに由来して命名されました。コックスという医師により始められた手術法なので、コックス法とも呼ばれます。
本来、心臓はたくさんの心筋細胞から成り立ち、それぞれが収縮しますが、洞結節(どうけっせつ)と呼ばれるところから信号が発せられ、規則正しく順にすべての細胞に信号が届き、心臓全体が協調した収縮を行なうようになっています。
しかし、心房細動では、心房のあちらこちらから信号が生じてしまい、その信号が心房内を不規則に伝達されるために、脈が頻繁(ひんぱん)になったり不規則になったりします。
そこで、心房をいったん迷路のように切開すると、こうした不規則な信号伝達が断ち切られるため、不整脈が治るのです。
メイズ法は大掛かりな手術を要するので、不整脈のためだけに行なわれることはあまりありません。先天性心疾患や弁膜症で心房細動を合併している患者さんの手術時に、併用して行なわれます。
しかし、手術中の出血が多くなるなどの負担もあり、メイズ法を併用するのが望ましい場合とそうでない場合を、十分にみきわめる必要があります。