最新 地学事典 の解説
メッシニアンきちちゅうかいえんぶんきき
メッシニアン期地中海塩分危機
Messinian Salinity Crisis
中新世Messinianの後半にあたる5.97~5.33Maに,地中海の広い範囲で蒸発岩が厚く堆積したイベント。蒸発岩は石膏・NaCl(岩塩)・K-Mg塩など。沿岸域では石膏を主とし,岩塩の分布は深海盆に限られる。北大西洋と地中海との海水交換が途絶え,地中海が蒸発したことが原因と考えられるが,地中海が完全に干上がったかどうかは論争中。地中海の音響断面構造には,陸上露出による侵食の痕跡とされる構造が認められ,その分布から当時少なくとも海水準が1,500m低下したと考えられている。陸上調査と科学海洋掘削により,3ステージからなること,西地中海と東地中海で蒸発岩の分布が異なり,西地中海の深海盆では第2ステージに岩塩が析出し,東地中海の深海盆ではイベントを通して厚い岩塩が析出したことなどが判明。第3ステージでは汽水相になった場所もある。5.33Maにジブラルタル海峡が開通し,急激に大量の海水が北大西洋から流れ込んだとされる。蒸発岩は厚さ最大2~3kmに達し,地中海が一度干上がっただけでは賄えない。その体積は最低でも100万km3と推定され,全海塩の6%に相当する。
執筆者:黒田 潤一郎
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

